漢方ビジョン研究会が提言 漢方製剤の保険適用堅持を 医療機関で漢方使えることが「一丁目一番地」
公開日時 2026/03/03 04:50

日本東洋医学会や日本漢方生薬製剤協会などでつくる「国民の健康と医療を担う漢方の将来ビジョン研究会」は3月2日、医療用漢方製剤等の保険適用の堅持などを盛り込んだ提言を取りまとめた。OTC類似薬の保険給付見直しに関する議論を念頭に置いたもの。同日、東京都内で開いたフォーラムで、代表世話人を務める東京都健康長寿医療センターの鳥羽研二名誉理事長は、フレイルや認知症といった高齢者医療をはじめ、女性医療、がん領域などで漢方の果たす役割を説明。「保険適用の中で、医療機関で漢方を扱っていくことが重要であり、それが提言の一丁目一番地だ」と強調した。
提言は、①国民の健康と医療に必要不可欠な漢方薬の保険適用の堅持②安定供給と持続可能な薬価③国民の健康福祉に資する研究の推進と制度改正④国民が求める漢方薬の情報発信―の4項目で構成。それぞれの個別項目として、原料生薬の安定供給に向けた国内栽培の推進や、社会課題に即した領域・疾患へのエビデンス集積、適正使用に資する効能効果の整備などを盛り込んだ。今後、政府やアカデミアに対して伝えていくとともに、シンポジウムの開催などを通じて周知を図っていくという。
フォーラムでは提言に関するディスカッションが行われた。鳥羽氏は漢方製剤の保険適用の堅持に触れ、「全国の医療機関で使われることでデータが集まり、臨床研究での新たなエビデンス構築が進んでいる。ポリファーマシーや医療経済の視点からも効果的な活用につながっている」と有用性を訴えた。
東北大病院総合地域医療教育支援部・漢方内科の髙山真特命教授は、免疫チェックポイント阻害薬と漢方の併用による相乗効果を示した研究を例に挙げ、「研究を基礎から臨床に積み上げていくことでエビデンスが広がり、医療経済効果の反映も期待できる」と主張。東京都健康長寿医療センターの秋下雅弘理事長兼センター長は「漢方はしっかりとした研究手法によるエビデンスが出てきており、代表的なものは診療別ガイドラインにも記載されるべき時が来ていると思っている」と訴えた。
また、基調講演では日本医師会の松本吉郎会長が登壇。OTC類似薬の保険適用除外を巡る議論について、改めて反対する立場を示した上で、「国民に安心・安全な医療を提供するためにも、医療用漢方等が適正な価格で医療保険制度の中で処方されるべきだ」と強調した。