新薬等7製品が承認へ 日本ベーリンガーの肺線維症治療薬・ジャスケイドなど 薬事審・第二部会が了承
公開日時 2026/04/28 04:50
厚生労働省の薬事審議会・医薬品第二部会は4月27日、日本ベーリンガーインゲルハイムの特発性肺線維症(IPF)及び進行性肺線維症(PPF)治療薬・ジャスケイド錠(一般名:ネランドミラスト)など新薬5製品の承認の可否を審議し、承認を了承した。
このほか審議品目で、承認が了承された中には、モデルナ・ジャパンの次世代の新型コロナワクチン・エムネクスパイク筋注や、中外製薬のALK阻害剤・アレセンサのがん種横断的なALK融合遺伝子陽性固形がんへの適応拡大などがある。
報告品目は2製品。グラクソ・スミスクラインのRSウイルスワクチン・アレックスビーの18歳以上のハイリスク者への用量追加などが含まれる。
【審議品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
▽ソーティクツ錠6mg(デュークラバシチニブ、ブリストル マイヤーズ スクイブ):「既存治療で効果不十分な下記疾患:乾癬性関節炎」を効能・効果とする新効能医薬品。再審査期間は残余期間(令和14年9月25日まで)。
経口TYK2阻害剤。ソーティクツは2022年9月に「既存治療で効果不十分な尋常性乾癬、膿疱性乾癬および乾癬性紅皮症」を適応として承認されており、それに続くもの。用法・用量に変更はない。
海外では2026年2月現在、乾癬に対する治療薬として50を超える国と地域で承認されている。
なお、国内で乾癬性関節炎(PsA)の適応を持つ医薬品には、メトトレキサートやPDE4阻害剤・オテズラ錠、JAK阻害剤・リンヴォック錠、生物製剤などがある。
▽ジャスケイド錠9mg、同錠18mg(ネランドミラスト、日本ベーリンガーインゲルハイム):「特発性肺線維症、進行性肺線維症」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。
経口の優先的ホスホジエステラーゼ4B(PDE4B)阻害剤。特発性肺線維症(IPF)は、指定難病である特発性間質性肺炎の病型の一つ。肺に進行性の線維化が生じる予後不良の特発性(原因を特定できない)の難治性疾患であり、未治療の場合の生存期間の中央値は約3年と報告されている。国内では、ニンテダニブ(オフェブ)とピルフェニドン(ピレスパなど)がIPFの適応を持っている。
もう一つの進行性肺線維症(PPF)は、自己免疫性間質性肺疾患を含む間質性肺疾患(ILD)の臨床診断に関連しており、特に関節リウマチ、全身性硬化症、過敏性肺炎などの疾患によって引き起こされる。進行性の呼吸症状の悪化や肺機能の低下を来し、患者の全生存期間の中央値は約3.7年と報告されている。国内の最大患者数は4万8000人程度と推定されている。国内では、オフェブが名称は異なるが、同一病態の疾患である「進行性線維化を伴う間質性肺疾患(PF-ILD)」の適応を持っている。
ジャスケイドのIPF、PPFに対する用法・用量は「通常、成人には1回18mgを1日2回経口投与する。なお、患者の忍容性に応じて、1回9mg1日2回に減量することができる」。
海外においてジャスケイドは、2026年3月現在、米国及び中国において、IPF及びPPFに係る効能・効果で承認されている。
▽ファセンラ皮下注30mgシリンジ、同皮下注30mgペン(ベンラリズマブ(遺伝子組換え)、アストラゼネカ):「好酸球増多症候群」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。
抗IL-5受容体α抗体。好酸球増多症候群(HES)は、血中および組織中の好酸球数が高値を示す希少疾患群で、体内のあらゆる臓器に進行性かつ致死性の高い障害を引き起こす可能性がある。推定患者数は約2000人。
現在、ファセンラは気管支喘息および好酸球性多発血管炎性肉芽腫症の適応を持っており、それに続くもの。HESに対する用法・用量は「通常、成人及び12歳以上の小児には1回30mgを4週間隔で皮下に注射する」。
海外では、2026年3月現在、HESに係る効能・効果でチリにおいて承認されている。
▽エムネクスパイク筋注シリンジ12歳以上用(SARS-CoV-2のスパイクタンパク質のN-末端部位及び受容体結合部位をコードするmRNA、モデルナ・ジャパン):「SARS-CoV-2による感染症の予防」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。
mRNAワクチン。既存の同社のスパイクバックスがSARS-CoV-2のスパイクタンパク質全長体をコードするのに対し、エムネクスパイクは受容体結合部位(RBD)及びN-末端部位(NTD)をコードするmRNAを有効成分とする。
スパイクバックス(12歳以上用)の用法・用量が「1回0.5mLを筋肉内に接種する」となっているのに対し、エムネクスパイクは「1回0.2mLを筋肉内に接種する」。
海外では、2026年2月時点で、米国及びEUを含む4つの国・地域において承認されており、米国では65歳以上又はCOVID-19の重症化リスク因子を一つ以上有する12~64歳の者、EUでは12歳以上の者を対象として承認されている。
▽アレセンサカプセル150mg(アレクチニブ塩酸塩、中外製薬):「ALK融合遺伝子陽性の進行・再発の固形がん」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。再審査期間は5年10カ月。
ALK阻害剤。ALK融合遺伝子陽性固形がんに対する世界初のがん種横断での治療薬となる。既承認の「ALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」の適応は、今回の固形がんの中に含まれる形になる。用法・用量は「通常、成人には1回300mgを1日2回経口投与する」。また、小児に対して体重に応じた投与量が設定されている。
【報告品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
報告品目は、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の審査段階で承認して差し支えないとされ、部会では審議せず、報告のみでよいと判断されたもの。
▽アレックスビー筋注用(RSウイルスPreF3抗原、グラクソ・スミスクライン):「RSウイルスによる感染症の予防」を効能・効果とする新用量医薬品。再審査期間は残余期間(令和13年9月24日まで)。
RSウイルスワクチン。2023年9月に60歳以上の者を対象に、また、24年11月に50~59歳のハイリスク者を対象に承認を取得しており、今回ハイリスク者の投与対象を18歳~59歳に広げるもの。
海外では、2026年1月時点で、60歳以上の成人又はRSV感染症が重症化するリスクが高い50歳以上の成人を対象とした適応については日本を含め、欧州、米国等の50以上の国又は地域で承認されており、18~49歳を対象とした適応については欧州及びエルサルバドルで承認されている。
なお、国内のアレックスビー以外のRSウイルスワクチンのうち、アブリスボは▽妊婦への能動免疫による新生児及び乳児、▽60歳以上の者―、エムレスビアは60歳以上の者が投与対象となっている。
▽マブキャンパス点滴静注30mg(アレムツズマブ(遺伝子組換え)、サノフィ):「T細胞性前リンパ球性白血病」を効能・効果とする新効能医薬品。
抗CD52抗体。事前評価済み公知申請品目であり、保険適用済み。用法・用量は既承認適応の「再発又は難治性の慢性リンパ性白血病」と同じ。
海外では、欧米等6カ国(米国、英国、独国、仏国、加国、豪州)において、T細胞性前リンパ球性白血病に対して承認されていないものの、海外診療ガイドライン(NCCNガイドライン(v.1.2025)、BSHガイドライン(2021年版))において、T細胞性前リンパ球性白血病に対する治療選択肢の一つとして記載されている。