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ノバルティス 医療用薬事業に集中 GSKのがん治療薬事業を145億ドルで買収

公開日時 2014/04/24 03:51

ノバルティスは4月22日、グラクソ・スミスクライン(GSK)のがん治療薬事業の買収と、自社のワクチン事業のGSKへの売却、GSKとのOTC部門のジョイントベンチャー化、イーライリリーへの動物薬事業の売却という大規模な事業再編を発表した。今回の事業再編はがん治療薬事業の145億ドルでの買収を柱とし、達成報奨金なども含めると総取引金額は最大285億ドル(約2兆9200億円)になる。

同社はダニエル・バサラ前最高経営責任者(CEO)時代には多角化を推し進めてきたが、今後は新薬事業、ジェネリックのサンド事業、眼科領域のアルコン事業を柱とする医療用医薬品事業に集中する形で大転換を図ることになる。今回の買収についてジョー・ヒメネス最高経営CEOは「今回の取引は当初にとって転機。開発力と世界規模を有する成長事業に焦点を当て、当社の財務力強化と成長率および利益にただちにプラスになることが期待される」とコメントした。

事業再編ではノバルティスがGSKから現在のがん領域製品を145億ドルで買収し、最大15億ドルの達成報奨金の支払いを取り決めた。GSKのがん領域製品の直近売上高は約16億ドル。また、GSKのがん領域開発品を取得するオプションも有する。GSK側は、昨年米FDAの優先審査対象となり、今年1月にBRAF V600EとV600K変異陽性転移性黒色腫(メラノーマ)に対してFDA承認を受けたTafnlarとMEKINISTの併用療法に関して、Tafnlar単剤とのフェーズ3比較試験が進行中で、達成報奨金はその結果次第と公表している。

ワクチン事業に関してはインフルエンザワクチンを除く全事業を71億ドル、これにロイヤリティーも加えて売却する。71億ドルには最大18億ドルの達成報奨金も含まれている。なお、今回の売却対象にならなかったインフルエンザワクチン事業も他社へ売却の方向で検討を進める。

ノバルティスは利益幅が小さく、スケールメリットが必要なワクチン事業を手放す一方、GSKはB群髄膜炎菌ワクチン・Bexseroを新たなラインナップに取り込めるほか、アメリカでのワクチン事業強化も見込める。

また、同事業取得により、GSKはイタリア、ドイツの充填施設や中国、インドでの製造拠点も手に入れる。さらにGSKのワクチン分野の開発パイプラインは20以上に拡大する。

一方、OTC事業に関しては、GSKとの間でジョイントベンチャーを発足させる。新会社の株式についてはGSKが63.5%、ノバルティスが37.5%、11人の取締役就任予定者のうち4人はノバルティス側が占める。新会社のCEOにはGSKのコンシューマーヘルスケア部門責任者のエマ・ウォルムスリー氏が就任予定。新会社の経営権はGSK側が握るものの、ノバルティスの株式保有比率は拒否権発動ラインを超えており、一定のプレゼンスは保持する。新会社は2013年売上高実績ベースで65億ポンドの世界最大のOTC事業会社となる。

GSKでは、今回の事業強化でノバルティスのプレゼンスが強かったロシア、中東欧地域の新興国市場のプレゼンス強化が図れるとしている。 これらによりGSK側は医療用医薬品事業の呼吸器領域とHIV領域、OTC、ワクチンで売上高の70%を占めることになり、これらを中核とした事業展開に移行する。また、GSKは事業再編の進行に応じて総額40億ポンドを株主に還元予定としている。

さらにノバルティスは、動物薬事業を米イーライリリーに約54億ドルで売却する。リリー側の動物薬事業部門エランコは買収により動物薬事業で世界第2位となる。買収に当たってリリー側は約34億ドルを手元資金で、20億ドルを借り入れで賄う予定としている。同社は、買収完了から3年以内に年間約2億ドルのコスト削減が可能との見通しを示している。 

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