【MixOnline】パンくずリスト
【MixOnline】記事詳細

厚労省監麻課 21年度販売情報提供監視事業報告 20医薬品で違反疑い 項目数延べ26件 オンライン事例も

公開日時 2022/08/01 04:52
厚労省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課は7月30日、2021年度「医療用医薬品の販売情報提供活動監視事業」の報告書を公表した。MR、MSL等による延べ 20 件の医薬品がモニター医療機関からの報告(対象期間9か月)で疑われ、複数の違反疑い事例を含めると項目数は延べ 26 件となった。項目別にみると、「エビデンスのない説明を行った」(10 件、38.5%)が最も多く、次いで、「他社の製品を誹謗・中傷する表現を用いた」(5件、同19.2%)だった。違反が疑われた医薬品の情報入手方法は、「製薬企業担当者(オンライン・Web グループ面談(院内))」が 8 件(違反が疑われた延べ 20 医薬品の 40.0%)で最も多く、次いで「製薬企業担当者(オンライン・Web 個人面談)」(5件、同25.0%)。コロナ禍を反映して、MR等の「オンライン面談」によるシーンでの違反が目立っている。

販売情報提供活動監視事業は、MR、MSL等による販売情報提供活動を対象としたモニター調査及びモニター以外の医療機関からの情報収集、医療関係者向けの専門誌・学会誌、製薬企業ホームページ、医療関係者向け情報サイトを対象に調査を実施したもの。モニター調査の実施期間は21年度中の9か月間とした。

疑義報告が行われた延べ医薬品数は28件で、うち違反が疑われた延べ医薬品数は20件、延べ違反疑い項目数は26件だった。なお、前年20年度の調査は対象期間が1か月短い8か月間で、疑義報告が行われた延べ医薬品数は21件、うち違反が疑われた延べ医薬品数は14件、延べ違反疑い項目数は17件だった。

◎医薬品種類別では、腎性貧血治療薬、片頭痛予防薬、糖尿病薬の順

違反が疑われた医薬品の種類を報告の多かった順にみると、①腎性貧血治療薬、②片頭痛予防薬、③糖尿病薬、④不眠症薬、⑤抗ウイルス薬、⑥化膿性疾患用薬、⑦血液凝固阻止薬、⑧心不全治療薬、⑨その他代謝性医薬品、⑩多発性硬化症治療薬、⑪皮膚炎用薬、⑫関節機能改善薬、⑬抗がん剤-となっている。

◎違反疑いの情報入手「製薬企業担当者(オンライン・Webグループ面談(院内))」がトップ

違反が疑われた事例の情報入手方法(複数回答)は、トップが「製薬企業担当者(オンライン・Webグループ面談(院内))」で40.0%、第2位は「製薬企業担当者(オンライン・Web個人面談)」で25.0%。次いで、「製薬企業担当者(直接対面)」と「製薬企業担当者(メール・電話)」がともに15.0%で並んだ。「企業の製品説明会(Web によるものを除く)」は10.0%、「企業のホームページ」と「医療関係者向け情報サイト」はともに5.0%。逆に、「Webセミナー」、「医療関係者向け専門誌・学会誌」からの報告は無かった。

一方で、2019年10月に設置した「医療関係者向け医療用医薬品の販売情報提供活動に関する調査窓口」に寄せられた「一般報告」の疑義報告は、延べ医薬品数で8件、うち違反疑いの医薬品数は7件、延べ違反疑い項目は11件だった。

◎腎性貧血治療薬の事例 競合他剤と比較して血栓塞栓症リスクが低いと捉えられる説明

モニター報告から違反疑い事例をみると、最も報告の多かった「エビデンスのない説明を行った事例」は、腎性貧血治療薬の事例で、実際の臨床試験で血栓塞栓症が少ないという事実がないにもかかわらず、「緩徐なHb値上昇が特徴であり血栓塞栓症リスクが低い」と発言し、競合他剤と比較しても血栓塞栓症リスクが低いと捉えられるような説明を行ったというもの。企業担当者による説明が違反疑いとして報告された。

◎片頭痛予防薬のオンラインヒアリング 他社製品を誹謗 上司同席で組織的違反の疑いも


また、2番目に報告数の多かった「他社の製品を誹謗・中傷する表現を用いた」という事例は、片頭痛予防薬についてオンラインヒアリングを行った際に、製薬企業作成の当該薬剤を含め同効薬3製品の比較表が画面共有された上で、企業担当者から説明があったというもの。「当方から質問をしていないにもかかわらず、企業担当者からは、(他社製品の)A剤は初回倍量投与しなければいけない、B剤は便秘が多いと、他社製品を誹謗し自社製品の優位性を訴える説明があった」というもの。加えて、企業担当者の上司も同席しており、組織的にこのような説明を行っている可能性をうかがわせる内容であったと報告している

◎SGLT2阻害剤の説明 承認外の使用を促しているように受け取れる

このほか「承認外の使用を促しているように受けとられる説明を行った事例」では、SGLT2阻害剤について、医療関係者からの求めがないのに、「SGLT2阻害剤は左室駆出率が保持された心不全(HFpEF)に対する適応はないが、有効性が論文で報告されている。心不全患者は腎臓が悪いことも多く、本剤に慢性腎臓病が適応追加されたため、HFpEFの患者に対しても慢性腎臓病の病名をつけて処方がしやすくなったと医師が言っている」との言及があったというもの。「承認外の使用を促しているように受け取れる説明であった」と報告されている。

プリントCSS用

 

【MixOnline】コンテンツ注意書き
【MixOnline】関連ファイル
関連ファイル

関連するファイルはありません。

【MixOnline】キーワードバナー
【MixOnline】記事評価

この記事はいかがでしたか?

読者レビュー(10)

1 2 3 4 5
悪い 良い
プリント用ロゴ
【MixOnline】誘導記事

一緒に読みたい関連トピックス

記事はありません。
ボタン追加
バナー

広告

バナー(バーター枠)

広告

【MixOnline】アクセスランキングバナー
【MixOnline】ダウンロードランキングバナー
記事評価ランキングバナー