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協和キリン データドリブンな営業モデル構築へ 所長向け「デジタルリテラシー研修」で目に見える変化

公開日時 2022/09/12 04:52
協和キリンは2021年7月に営業支援システムを刷新し、現場MRの強みをデータで補強するデータドリブンな営業モデルの構築に取り組んでいる。営業本部に新設した「営業デジタル推進室」を軸に、これまで営業所長向けの研修を2回行った。研修はデジタルリテラシー向上を主眼としたもの。研修受講後には、活動後24時間以内に日報を入力する割合が上昇するなど、その成果も見え始めているという。

◎21年4月に「営業デジタル推進室」新設


同社は営業支援システムの刷新に先駆けて、21年4月に「営業デジタル推進室」を営業本部に新設した。同推進室の戸田圭紀グループ長(デジタル企画グループ/データアナリティクスグループ)は、「新システムはローンチしたものの業界内でデジタルの取り組みが遅れていた。外部調査の結果からはデジタルを用いたアプローチが少し見劣りしており、なんとかシステム導入の遅れを、運用で取り戻したいと考えた」と語る。また、「当社に一番合うやり方ですすめていけば、現状の周回遅れを少しでも縮められると考えた」と強調する。

そこで考案したのが、営業のフロントラインをカバーする所長やMRを対象とした研修だ。「デジタルリテラシーの向上により、営業本部内に積極的にシステムを活用する雰囲気を作りたい」との想いからデジタル企画グループの堀内祥仁マネージャーと具体的な方法についての検討に着手した。堀内氏も同様に外部調査の結果が芳しくないことに問題意識を感じていたという。熟考の結果、「現場マネジメントの最前線にいる営業所長の率先垂範が効果的」との結論に辿り着き、「見る立場でもあり、見られる立場でもある営業所長が実践してこそ、デジタルの必要性と有用性がMRに伝わる」とその意図を説明した。

営業所長研修は2回に分けて行われた。21年末に行った1回目の研修では、デジタルリテラシーに絞ってプログラムを実施した。堀内氏は、「ここは非常にスタンダードな内容を理解して頂き、腹落ちしやすいような環境を整えた」と強調する。2回目の研修では、1回目の内容をベースにMRに展開する資料(マテリアル)を作成した。例えば「現場の医師にこんなことを聞いてみて欲しい」だったり、「自分たちの認識に齟齬がないかどうか」など、実用的な内容にアレンジメントしたという。堀内氏は、「軸を営業所長にして、自らが受けた研修の均一化した内容、統一化されたマテリアルで展開することにより、効率的に1100人のMRのデジタルリテラシーを上げていくことができる」と強調する。加えて、担当する営業所の特性を考慮して、「営業所長が一定のアレンジメントを自由に加えられるようにした。そのやり方は営業所長に一任した」と明かしてくれた。

◎日報の早期入力が大幅改善

具体的に可視化された事例も出てきている。営業デジタル推進室では、21年7月以降の新システムに関する様々な状況をトラッキングしてきた。例えば、日報の早期入力を所長やMRに求めているが、研修前と研修後を比較して早期入力は約20%改善した。堀内氏は、「たぶん所長から(新システムで)“情報を蓄積していこう”という声があったと想像できた。そこでMRもやってみようということになったのではないか。所長の号令に皆がついてくるような良い組織だと感じた」と語っている。

◎「営業本部Our Vision 2025」にデジタル技術チャレンジも

新システムの刷新と同じタイミングで営業本部長に曽根川寛氏が就任する。曽根川本部長は「営業本部Our Vision 2025」を策定する。ビジョンでは、Continue to Challengeとして、「今まで築き上げてきた歴史と経験に加え、デジタル技術やエリア担当制など新しい“もの”を積極的に取り入れ、自分たちの壁を乗り越えるチャレンジを続け、グローバル・スペシャリティファーマにおいて輝き続ける最高のチームになろう」と書き込んだ。

営業デジタル推進室の野口雅弘室長は、「このビジョンの啓蒙活動をやってきた時期とも重なった。ビジョンにはデジタル技術を積極的に取り入れることもメッセージとして刻んだことも、奏効する一因となったのではないか」と話す。「誰も取りこぼさない」―― 野口氏は強調する。「所長が若い人にデジタルは任せておけば良いとうい形には絶対ならないように進めてきた。だから最初から所長向けの研修とした」とも強調する。また、研修では所長同士のディスカッションも取り入れたことを明らかした。「若手所長からベテラン所長まで、単にデジタルの話だけでなく、自分たちのツールやシステムの話を通じて自覚を持ち、意識をあげることができたのではないか」と述べ、まずは第2弾の取り組みに安堵感を表明した。

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