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IQVIA・ジャパン DCT支援の「サイトオペレーション事業」立ち上げ 治験空洞化やドラッグ・ラグ防ぐ

公開日時 2022/09/14 04:50
IQVIAジャパンは9月13日のメディアセミナーで、社内にDCT(分散化臨床試験)を支援する「サイトオペレーション事業」を立ち上げ、新サービスを開始したと公表した。治験実施医療機関と業務委託契約を締結し、試験中は実施医療機関にレポートする。DCT専用システムを使い、居宅患者のプロトコール実施計画書に従った来院調整や、文書のアップロード、電子署名、安全性のトラッキング機能やSDVなど各種連携を可能とする。講演した東京センタークリニックの長嶋浩貴院長は、「一番恐ろしいのはグローバル治験が完全にDCTに舵を切った時だ。日本でDCTをやる予定のない製薬企業が半数もあることを危惧する」と指摘した。そのうえで治験の空洞化やドラッグ・ラグを防ぐために、「日本の製薬企業には頑張って欲しい」と強調した。

DCT(Decentralized Clinical Trial)とは、分散化臨床試験と呼ばれ、被験者の医療機関への来院に依存しない臨床試験と定義される。欧米のグローバルファーマを中心に国際共同治験においてDCTを活用することが近年増加しており、日本国内でもDCT実施体制の整備が求められる状況にある。

◎DCTでないと実施できない治験も少数ながら日本で始まりつつある

IQVIAジャパンの金子信太郎プロジェクトリーダーシップ ディレクターは記者との質疑で、「実際にDCTでないと実施できない治験も少数ながら日本で始まりつつある」と強調した。その上で、「日本もDCTに参加できるよう、費用の制約条件などあるが、限られた予算の中で参加できるように我々として全力でサポートしたい」と述べた。医療機関側の実施体制が整っていないことについては、「IRBの審査が終わるまでに体制を整えることで治験を開始して良いか当局に確認したところ、事前に手順を整え、依頼者と合意していればDCTの実施は可能という回答を頂いている」と述べ、こうした施設支援を行う考えを示した。

◎DCT専用システムのメリット「治験実施計画書に沿った来院調整」など


DCT専用システムのメリットについて金子氏は、「例えばプロトコール実施計画書に従って来院調整やビデオ会議システムと同様に複数の方が参加できる。加えて、リモートCRCの専用機能や文書のアップロード、電子署名、安全性のトラッキング機能、SDVなど各種連携(eConsent、 eCoA/ePRO、IWRS、DDC, Lab、ウェアラブルデバイス)が可能」と説明。一方で弱点として、「専用システムなので費用がかかる」とした。また、システムに関しては、「日本は少し特殊なシステムの位置づけがあり、導入に苦戦することがある」とも指摘した。中央評価者によるリモート評価については、「Face to Faceより劣るとのイメージがあったが、方法次第では、これまでの治験になかったメリットを出せる可能性がある」と強調。「精神科関係などはデジタルとの相性が良い」との感触を示したほか、「今後はDCTを活用することで1つのクリニックで400症例を集めるようなこともできる。リモートによる中央評価により、ヒトによるバラツキは最小限に抑えることができる。Face to Faceに比べてメリットがあるのではないかということで実施数も増えてくるのではないか」と見通した。

◎治験依頼者側の効果「患者負担の低減、症例登録の促進、治験中止率低下の可能性など」

DCTに伴う治験依頼者側の効果については、「患者負担を減らすことにより、症例登録の促進及び患者の治験中止率を下げる可能性がある」と指摘。中央評価者を併用することにより、評価の質をあげる可能性にも言及した。一方で、ベンダー選定、システム確認、責任範囲、タイムライン、費用の確認、コミュニケーションプランなどで治験開始前の負担増を指摘。さらに対象疾患などオンライン評価の妥当性なども“チャレンジ”になるとの見解を示した。


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