J-TEC・山田社長執行役員が就任会見 治療機会の確保で信頼構築「持続的な黒字経営めざす」と所信表明
公開日時 2025/06/27 04:51
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ジャパン・ティッシュエンジニアリング(J-TEC)の山田一登代表取締役社長執行役員は6月26日、新社長就任会見・経営方針説明会に臨み、「患者さんの治療機会を最大限に確保して信頼を築き上げることで、持続的な黒字経営を目指していく」と所信を表明した。その上で、25年度に黒字転換し、27年度の売上高50億円(営業利益10%)達成に強い意欲を示した。社長就任日は6月19日付。
山田社長は、同社の再生医療等製品5製品(自家培養表皮ジェイス、自家培養軟骨ジャック、自家培養角膜上皮ネピック、自家培養口腔粘膜上皮オキュラル、メラノサイト含有自家培養表皮ジャスミン)の上市を通じて、移植医療型製品の作りこみノウハウ、安定供給プラットフォーム、専門人材育成、医療現場や国との連携体制といった「再生医療プラットフォーム構築(ステップ1)」が出来上がり、現在、「社会実装(ステップ2)」の段階に入っていると説明。
具体的には、ジャックの変形性膝関節症(膝OA)適応拡大に伴う多くの患者に届ける仕組みづくりをはじめ、ジェイスの他家(同種)培養表皮Allo-JaCE03(アロジェイスゼロスリ―)への応用、シスメックスと提携した多様な再生医療製品の製造/検査工程の自動化・機械化などを推進しているとした。
◎27年度事業別構成比 再生医療製品6割、再生医療受託3割、研究開発支援1割
27年度の売上目標50億円の事業別構成比は、再生医療製品事業が6割、再生医療受託事業が3割、研究開発支援事業が1割を予定する。このうち、製品事業では、25年5月に膝OAに適応拡大し、同年12月までの保険収載(上市)を目指しているジャックの売上は、既存適応を含め25億円程度を見込んでいる。24年9月に有効性の主要評価項目達成を発表しているAllo-JaCE03については、25年度中の承認申請、26年度中の上市を目指している。
山田社長は、27年度50億円達成のためのポイントとして、ジャックやジャスミンなど既存製品の価値最大化とともに、▽開発から市場投入までサポートできることを強みとした「プル型営業」による受託事業成長、▽皮膚感作性試験「EpiSensA」やヒトiPS 細胞由来の研究用腸管上皮モデルなど動物代替法のグローバル展開――を挙げ、「受託事業及び研究開発支援事業も一定の成長を遂げる」とした。
◎日本の再生医療ビジネスを海外にも訴求 「使っていただく患者さんを広げていく」
27年度50億円達成後の展望として、「グローバル戦略と新製品による飛躍的成長(ステップ3)」を目指していくと強調。「日本の再生医療ビジネスを海外にも訴求し、インバウンド、アウトバウンドによって、さらに弊社製品を使っていただく患者さんを広げていく。そして、既存のプラットフォームが活きる新規パイプラインの開発と上市も進めていく」と語った。
26年度の国内上市を目指すAllo-JaCE03は、▽製品を乾燥・滅菌させることで長期の常温保管が可能▽作り置きが可能なため、有事の際など必要時に即使用可――などの特長があり、海外市場への展開も視野に入れる。山田社長は「海外展開についてはこれから進めていくところであり、海外の規制をしっかりクリアさせていく必要がある。まずは国内で承認を頂いた後、海外に広げていくことになる」と述べた。