Sobi Japan金社長「5年間で5つの希少疾患に対する製品の上市を」 日本での存在感の向上に意欲
公開日時 2025/09/12 04:49

スウェーデンに拠点を置くSwedish Orphan Biovitrum の日本法人Sobi Japanの金哲大代表取締役社長は、9月9日に開催したセミナーで、「日本では今後5年間で新たに5つの希少疾患に対する製品の上市を目指す」と強調した。同社のトロンボポエチン(TPO)受容体作動薬・ドプテレット錠20mg(一般名:アバトロンボパグマレイン酸塩)は、8月25日に「持続性および慢性免疫性血小板減少症(ITP)」の追加適応を取得している。金社長は、「ドプテレットを皮切りに、日本でもっと存在感を出していきたい」と抱負を語った。
Swedish Orphan Biovitrumは2009年に設立されたスウェーデンのストックホルムに本社があるバイオ医薬品企業。血液領域、免疫疾患、スペシャリティ領域の分野で世界的に事業展開を進めており、日本法人は2020年に6月に設立された。現在約30か国で事業を展開し、売上高は約3700億円(2024年実績)。
金社長は、同社の事業戦略「Go global」を挙げ、「2019年より中国、オーストラリア、日本、ラテンアメリカ、韓国で事業を展開拡大してきた」と説明。ライセンシング・買収・パートナーシップを組み合わせたビジネスモデルを展開しており、ドプテレットも2019年に買収した米・Dova社が開発したものだと説明した。
また、同社の成長について金社長は、「直近9年間の平均成長率が23%という業績を出している」と実績を示し、現在「フェーズ3の国際共同治験で3つのプログラムが走っている」ことを明かした。そのうえで、「弊社は中規模で希少疾患に特化した会社であるからこそ、ドラッグラグ・ドラッグロスの問題解決に寄与できるのではないか。日本の希少疾患の患者様の少しでもお役に立てるよう努力してまいりたい」と決意を述べた。
◎ITPの治療薬増加 大阪大附属病院・加藤氏「利便性が高く有効な選択肢に」

セミナーでは、大阪大学医学部附属病院輸血・細胞療法部部長の加藤恒氏が登壇。ITP治療において3剤目のTPO受容体作動薬として使用可能となったドプテレットについて解説した。現在のITP治療では、TPO受容体作動薬として経口内服薬の「レボレード」と皮下注射薬の「ロミプレート」が使用されているが、加藤氏は「ドプテレットは1日1回の内服薬で食事の影響を受けず、利便性が高い」と説明。「長期継続が前提のため血栓症や骨髄線維化についてはまだ観察が必要だが、有効な治療選択肢になるだろう」と期待感を示した。
また、ITPは2025年4月に疾病名の変更が行われ、「免疫性血小板減少症」となった。その背景について、もともとは疾患の原因が分からず「特発性血小板減少性紫斑病」と名称がついていたが、「自己抗体が作用しているということがわかり、紫斑についても必ず全ての患者さんに出るわけではない」(加藤氏)ため、海外に遅れる形で変更された。なお、英語名Immune Thrombocytopeniaに基づく「ITP」という略称に変更はない。