FDA 2010年新薬審査レビュー(下) ビッグファーマの薬剤はどこに?
公開日時 2011/02/07 04:00
2010年の承認品目をみるとスペシャルティ企業の製品が多く、大手製薬企業のパイプライン枯渇の状況が改善されていない実態が浮き彫りにされた。
大手で息をまいたのは、MS治療薬Gilenyaと髄膜炎ワクチンMenveoの承認取得をしたノバルティス。2009年には同社が4剤(1NME、3BLA)の承認取得を行い、GSKも4剤あったが、GSKは2010年は0となった。この両社はここ数年主に新規製品を上市していた。J&Jもその仲間だったが、2010年は登場しなかった。
ノバルティスに加え登場したのは、ホルモン抵抗性前立腺がん治療薬Jevtana(cabazitaxel)が承認されたサノフィアベンティス、13価肺炎球菌ワクチンPrevnar13のファイザー、関節リウマチ治療薬アクテムラ(トシリズマブ)のロシュの3社。Jevtanaは、2.6か月という最速の承認となった。SAは自社品だが、ファイザーはワイスの、ロシュはジェネンテクの開発製品でともに買収先の製品だ。ファイザーは、2006年に2製品の承認を取得後、2007、2008年とも1製品ずつ、その後は、2009年、2010年と新薬承認取得がなかった。
◎伸びるバイオベンチャー大手
2010年は、大手製薬企業の停滞とは対照的に大手バイオベンチャーの躍進が目覚ましかった。前述のジェネンテク・ロシュのActemra、ジェンザイムのルミザイム、アムジェンの閉経後骨粗鬆症治療薬Prolia(デノスマブ)などがある。デノスマブは、2010年後半には、Xgevaの製品名でがんによる骨関連イベント治療薬として承認された。
◎中堅、スペシャリティ企業が大きな貢献、大手は多様化目指す必要
2010年は、中堅企業やスペシャリティ企業が成功を収めた。バイエル、エーザイ、ベーリンガーインゲルハイムなど中堅と大日本住友製薬の子会社サノビオン、シャイア、抗菌剤に特化のセレキサ、中枢神経のアコーダ、ウィメンズヘルスのHRAファーマ、内分泌・代謝疾患のセラテクノロジーズ、眼科のビスタコンなどスペシャリティ企業だ。
スペシャリティが伸長していることは小企業でも生き残れることを示し、ビッグファーマは、従来のプライマリケア領域でのブロックバスター・ビジネスモデルが終焉を迎え、多様化を指向しなければならないことを示している。