三共は５月16日開催の取締役会で、高藤鉄雄社長（73）に代わり、常務取締役の庄田隆氏（54）の社長就任を決めた。６月27日の提示株主総会で正式決定。高藤社長は、代表取締役会長に就く。同日、本社で記者会見した庄田新社長は、「経営全般のスピードアップと全社的なグローバル化」を強調した。同社によると、社長交代は、「今後の成長戦略のための経営基盤確立に一定のめどがついたため」。会見で庄田氏は、「これまで三共は、日本の単体を意識した経営体制だった」と、グローバル化の意義を説いた。また、「自社の視点だけでは足りないと判断した場合、製品や技術の囲い込みで他社資源を活用したい」と、内外双方を視野に入れたM&Aへの取り組みについても示唆した。２ヵ月前に就任の内示を受けた庄田氏は、「責任の重さからしばらく逡巡した」というが、「世代交代の必要性を十分理解」し承諾した。交代による社長の大幅な若返りについて「活性化で新陳代謝が必要」とした上で、年功序列でない新たな人事制度が今年秋からスタートすることを説明しながら、「三共にとって、こういう（若い社長が珍しい）こと自体が変わっていかなければならない」と述べた。一方、高藤社長は、庄田氏について、欧州に９年間駐在するなど海外経験が長いこと、薬学に精通していることなどから抜擢したと説明。自らの代表権を持った会長への就任については、「１、２年の間に庄田新社長の経営に対する考え方を主導にして、それが具体的にできるようなサポートをしていく。会長の年限は長くて２年と決めているので、その間に、庄田新社長の能力を引き出したい」と話した。庄田氏は石川県出身で、72年東京大学薬学部製薬化学科卒業、同年三共入社。海外医薬営業部長などを歴任し、02年６月から現職。