エキシデンサーなど新薬6製品4月15日収載へ 26年度薬価制度改革ルールを2品目に適用
公開日時 2026/04/09 04:51
中医協総会は4月8日、新薬6成分10品目の薬価収載を了承した。収載日は4月15日の予定。今回収載された品目のうち、2026年度薬価制度改革の内容が反映されたものが2品目あった。ラヴィクティ内用液1.1g/mL(オーファンパシフィック)は優先審査の対象とならない希少疾病医用医薬品であることから、市場性加算(Ⅰ)(10~20%)の例外的な下限として、5%が適用された。イドビンソ配合錠(MSD)については、比較薬であるボカブリア錠30mgに市場性加算(Ⅰ)10%が適用されていることから相当額を控除。一日薬価合わせを行ったうえで、事前評価の枠組みによらず、国際共同試験に参加することで日本人症例数を積み重ねたこと等を踏まえ、市場性加算(Ⅰ)の加算率を15%として評価した。
◎エキシデンサー皮下注ピーク時売上予想は406億円 最適使用推進GLを策定、留意事項通知も
収載される品目のうち、グラクソ・スミスクラインの6カ月(26週)に1回の投与を可能とする長時間作用型の気管支喘息及び鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎の治療薬・エキシデンサー皮下注は、10年後のピーク時売上予想は406億円。エキシデンサーは最適使用推進ガイドラインが策定され、保険適用上の留意事項通知が14日に発出、収載予定日の15日から適用される。
◎アクイプタ錠は245億円 イドビンソ配合錠は132億円
6製品のうち3製品は、ピーク時売上が100億円以上と予想された。エキシデンサーのほかに、▽片頭痛発作の発症抑制薬・アクイプタ錠(製造販売元:アッヴィ、ピーク時売上予想245億円)、▽HIV-1感染症治療薬・イドビンソ配合錠(MSD、132億円)――。イドビンソは14日間の処方日数制限を設けないことも、この日の中医協総会で了承された。
薬価算定にあたり加算がついたものの、製造原価開示度50%未満ということで加算ゼロとなった製品は、尿路サイクル異常症治療薬・ラヴィクティ内用液(オーファンパシフィック)の1製品あった。ラヴィクティは有用性加算(II)(A=5%)と市場性加算(I)(A=5%)が付いたが、薬価にこれらの加算分は反映されなかった。
◎キーンス配合注やソホノスカプセル 4月収載品に含まれず 3月収載スキップのイムルリオ錠もなく
一方、承認取得時期から4月収載が見込まれていた▽インスリン療法が適応となる2型糖尿病の治療薬・キーンス配合注(ノボ ノルディスク ファーマ、2月19日承認)、▽進行性骨化性線維異形成症治療薬・ソホノスカプセル(IPSEN、2月19日承認)――の2製品は今回の収載予定品に含まれていなかった。また、3月収載をスキップしていた乳がんを対象疾患とする経口選択的エストロゲン受容体分解薬(SERD)・イムルリオ錠(日本イーライリリー、25年12月22日承認)は今回も収載予定品になかった。
4月15日付で収載される製品は以下の通り(カッコ内は成分名と薬価収載希望会社)。投与経路・薬効分類順。
▽アクイプタ錠10mg、同錠30mg、同錠60mg(アトゲパント水和物、アッヴィ)
薬効分類:119 その他の中枢神経系用薬(内用薬)
効能・効果:片頭痛発作の発症抑制
薬価:
10mg1錠 339.90円
30mg1錠 831.30円
60mg1錠 1,461.60円(1日薬価:1,461.60円)
市場予測(ピーク時4年後):投与患者数7.9万人、販売金額245億円
加算:なし
薬価維持制度:該当する(主な理由:薬価維持制度対象品目の収載から3年以内3番手以内)
費用対効果評価:該当する(H5)
経口CGRP受容体拮抗薬。用法・用量は、「通常、成人にはアトゲパントとして60mgを1日1回経口投与する」。
国内で同じ経口CGRP受容体拮抗薬として、ファイザーのナルティークOD錠が25年9月に片頭痛発作の発症抑制(予防療法)と急性期治療の両方の適応で承認され、販売されている。アッヴィは25年12月、アクイプタ錠について片頭痛発作の急性期治療で承認申請している。
▽ラヴィクティ内用液1.1g/mL(フェニル酪酸グリセロール、オーファンパシフィック)
薬効分類:399 他に分類されない代謝性医薬品(内用薬)
効能・効果:尿素サイクル異常症
薬価:27.5g25mL1瓶 41,455.40円
市場予測(ピーク時6年後):投与患者数125人、販売金額6.5億円
加算:
有用性加算(II)(A=5%)「本剤は既収載品の課題である服薬アドヒアランスの改善が図られ、使用に際しての利便性が著しく高いものと考えられることから、有用性加算(II)(A=5%)を適用することが適当と判断した」
市場性加算(I)(A=5%)「本剤は希少疾病用医薬品に指定されていることから、加算の要件を満たす。本剤は優先審査の対象とはされていないことから、例外的な下限として、5%が妥当と判断した」
なお、製造原価開示度50%未満のため、加算係数はゼロ。
薬価維持制度:該当する(主な理由:希少疾病用医薬品として指定)
費用対効果評価:該当しない
フェニル酪酸のプロドラッグ。適応となる尿素サイクル異常症(UCD)は、生体内で発生する有毒なアンモニア(NH3)を無毒な尿素に変える代謝経路(尿素サイクル)に関与する酵素等に先天的な異常があり、高アンモニア血症などを呈する一連の疾患群。オーファンパシフィックでは、UCD治療薬として、ブフェニール錠・顆粒(フェニル酪酸ナトリウム)を13年1月から販売している。
▽ツカイザ錠50mg、同錠150mg(ツカチニブ エタノール付加物、ファイザー)
薬効分類:429 その他の腫瘍用薬(内用薬)
効能・効果:化学療法歴のあるHER2陽性の手術不能又は再発乳がん
薬価:50mg1錠 2,818.40円
150mg1錠 7,317.00円(1日薬価:29,268.00円)
市場予測(ピーク時5年後):投与患者数673人、販売金額42億円
加算:有用性加算(II)(A=10%)「臨床試験において、本邦における二次治療で効果が不十分な患者群において有効性を示したことや、NCCNガイドラインにおいて乳がんに対する三次治療として本剤+トラスツズマブ+カペシタビンによる併用療法が第一推奨に位置づけられていることから、有用性加算(II)(A=10%)を適用することが適当と判断した」
薬価維持制度:該当する(主な理由:加算適用)
費用対効果評価:該当しない
HER2選択的チロシンキナーゼ阻害剤。用法・用量は「トラスツズマブ(遺伝子組換え)及びカペシタビンとの併用において、通常、成人には1回300mgを1日2回経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する」。
今回の承認は、トラスツズマブ、ペルツズマブ及びトラスツズマブ エムタンシンの治療歴のあるHER2陽性の手術不能又は再発乳がん患者を対象とした海外第2相試験と、日本を中心とした国際共同第2相試験の結果等に基づく。
▽エキシデンサー皮下注100mgシリンジ、同皮下注100mgペン(デペモキマブ(遺伝子組換え)、グラクソ・スミスクライン)
薬効分類:229 その他の呼吸器官用薬(注射薬)
効能・効果:気管支喘息(既存治療によっても喘息症状をコントロールできない重症又は難治の患者に限る)、鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎(既存治療で効果不十分な患者に限る)
薬価:100mg1mL1筒 1,143,284円
100mg1mL1キット 1,143,284円(1日薬価:6,282円)
市場予測(ピーク時10年後):投与患者数1.8万人、販売金額406億円
加算:
有用性加算(II)(A=5%)「本剤は比較薬と比べて投与間隔が長く、患者の投与頻度が減少し、既存の治療方法に比べて効果の持続が著しく長いと判断されることから、有用性加算(II)(A=5%)を適用することが適当と判断した」
小児加算(A=5%)「本剤は小児に係る用法・用量が明示されていること等から、加算の要件に該当する。本剤の主たる効能・効果について、12歳以上の小児への適応を有する製剤が既に複数薬価収載されていることを踏まえ、加算率は5%が適当と判断した」
薬価維持制度:該当する(主な理由:加算適用)
費用対効果評価:該当する(H1)
最適使用推進GL:策定する(適用日:26年4月15日)
抗IL-5抗体。同じ抗IL-5抗体にはヌーカラ皮下注があるが、エキシデンサーは長時間作用型である点が特徴。
気管支喘息に対する用法・用量は「通常、成人及び12歳以上の小児には1回100mgを26週間ごとに皮下注射する」。鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎(CRSwNP)に対する用法・用量は、「通常、成人には1回100mgを26週間ごとに皮下注射する」。
▽サフネロー皮下注120mgオートインジェクター(アニフロルマブ(遺伝子組換え)、アストラゼネカ)
薬効分類:399 他に分類されない代謝性医薬品(注射薬)
効能・効果:既存治療で効果不十分な全身性エリテマトーデス
薬価:120mg0.8mL1キット 24,932円(1日薬価:3,562円)
市場予測(ピーク時10年後):投与患者数4.9千人、販売金額52億円
加算:なし
薬価維持制度:該当する(主な理由:先行収載品の収載から5年以内)
費用対効果評価:該当しない
抗I型インターフェロン受容体1抗体。これまでに全身性エリテマトーデス(SLE)に対して点滴静注製剤が「4週間ごとに30分以上かけて点滴静注する」との用法・用量で承認されている。今回、皮下投与製剤が追加され、その用法・用量は「通常、成人には1回120mgを1週間ごとに皮下注射する」。
▽イドビンソ配合錠(ドラビリン/イスラトラビル水和物、MSD)
薬効分類:625 抗ウイルス剤(内用薬)
効能・効果:HIV-1感染症
薬価:1錠6,610.50円(1日薬価:6,610.50円)
市場予測(ピーク時10年後):投与患者数5.5千人、販売金額132億円
加算:
市場性加算(I)(A=15%)「本剤は希少疾病用医薬品に指定されていることから、加算の要件を満たす。HIV-1感染症治療薬の治験においては日本人データがないケースが多い中、本剤の開発においては事前評価の枠組みによらず、国際共同試験に参加することで日本人症例数を積み重ねたこと等を踏まえ、加算率15%が妥当である」
迅速導入加算(A=10%)「本剤は国際共同試験により開発され、優先審査の対象であり、かつ本邦における承認が諸外国と比較して最も早いことから、加算の要件を満たす。国際共同試験における日本人症例数が比較的多いことを踏まえ、加算率は10%が妥当である」
薬価維持制度:該当する(主な理由:希少疾病用医薬品として指定)
費用対効果評価:該当しない
新規のヌクレオシド系逆転写酵素トランスロケーション阻害剤(NRTTI)・イスラトラビルと、非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(NNRTI)・ドラビリン(国内販売名:ピフェルトロ錠)の2剤配合錠。世界に先駆けて初めて日本で承認された。用法・用量は、「通常、成人には、1回1錠(ドラビリンとして100mg及びイスラトラビルとして0.25mgを含有)を1日1回経口投与する。本剤は食事の有無にかかわらず投与できる」。例外的に14日間の処方日数制限を設けない。
なお、有効成分のひとつのイスラトラビルはヤマサ醤油とのライセンス契約に基づいてMSDが開発した新規のNRTTI。