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MSD・ニカム社長 26年は生成AI活用と人財投資で「組織の生産性向上」に注力 外部環境の形成参画も

公開日時 2026/04/10 04:52
MSDのプラシャント・ニカム代表取締役社長は4月9日の記者会見で、「(社員の)能⼒と生産性を向上させ、高いパフォーマンスを発揮する組織を構築する」と強調した。同社の2025年国内業績は医薬品・ワクチンで約3990億円を売上げたものの、対前年比マイナス16.2%の2ケタ減。主力のキイトルーダが19.2%伸長する一方で、新薬創出等加算の累積額控除の影響を受けたジャヌビア、特許期間満了のブリディオン、キャッチアップ接種プログラム終了のシルガード9がそれぞれ減収となった。26年の事業戦略についてニカム社長は、「人財と能力に投資する」と強調。生成AIの活用は“黎明期”と控えめなコメントを残しながらも、AIソリューションを活用した組織の生産性向上に注力する考えを明言した。

◎25年国内業績は「向かい風と追い風」

「向かい風と追い風が両方あった」―、ニカム社長はこの日の会見で25年の国内業績を、こう総括した。同社は、がん免疫療法薬・キイトルーダが国内医療用医薬品で売上1位(前年比19.2%増)と好調だった。ただ、シルガード9の減収や、新型コロナ治療薬・ラゲブリオの需要減少、ジャヌビア、ブリディオンの薬価引下げが業績を押し下げる結果となった。

こうした状況を捉え、ニカム社長は日本の2026年事業戦略として、①製品およびパイプラインの最大化、②組織の生産性向上、③魅力ある市場と外部環境の形成――の3点に注力する考えを表明した。特に市場環境については、地政学的リスクやトランプ大統領のMFN価格協定など外部環境の影響度が高まっているとの認識を示しながら、「日本はこれからも魅力的な市場であり続ける必要がある」と述べ、「イノベーションを届けるための予見性と安定性が重要だ。予見性も安定性もなければ、ビジネス上の判断が非常に難しくなる」と指摘した。一方で、「コマーシャル的な観点でも医薬品の価値がしっかり評価されれば状況が好転する、これをチャンスと捉えて頂きたい」とも語った。

◎AI活用は「黎明期」だが、従業員のワークライフバランスと生産性向上を目指したい

一方でニカム社長は、26年の戦略的注力領域として、「高いパフォーマンスを発揮する組織の構築」を掲げている。この日の会見では、①キャリア開発、②働き方、③デジタル・ケイパビリティの強化-を打ち出し、生成AIソリューションについて強力に推進する考えを明示した。ニカム社長は、AIの活用について、まだ「黎明期」と述べながらも、「ドキュメントの翻訳をAIに任せるなど、生産性の向上を図り、従業員のワークライフバランスの向上を目指したい」と強調。コマーシャル部門では、「先生方とお話をするときのサポートツールとして活用しており、情報提供においてベストな体験を提供している」と説明した。またMRなどコマーシャル部門の、「社内のトレーニングなどにも活用している」と明かし、今後も積極的に推進する考えを示した。

◎「医学書を書き換える」 26年中に最大8プロジェクトの承認・8つ以上の申請予定

白沢博満代表取締役会長兼グローバル研究開発本部長は会見で同社の開発パイプラインの進捗状況を報告した。白沢会長兼R&D本部長は、26年中に「(適応追加も含め)最大で8プロジェクトの承認は堅いと思う。データ次第だが8プロジェクト以上の申請ができるだろう」と見通した。すでに2月にはキイトルーダが「頭頸部がんの術前・術後補助療法」で承認取得。3月にはイドビンソ配合錠が「HIV-1感染症治療薬」として世界に先駆けて日本で承認されている。

白沢会長兼R&D本部長は今後のパイプラインについて、オンコロジー、感染症、免疫領域、眼科領域などの中から「相当な数の開発品が医学書を書き換え、標準治療になるという、次のフェーズに入ったと感じている」と強調した。さらに、リスク非調整で順調に進展した場合、2030年代半ばまでにグローバルで総額700億ドル規模の売上ポテンシャルが見込めるとも明かした。白沢会長兼R&D本部長は、「ワクワクしながら医学書を書き換えていくことになる。結果として収益にもつながるステージに入った」と述べ、強い自信を示した。
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