厚労省・日赤 ウイルス「陽性」遡及調査へ
公開日時 2003/06/16 23:00
血液製剤に用いる血液にC型肝炎ウイルスが混入している恐れがあるとして厚
生労働省は6月16日、日本赤十字社(日赤)に対し、安全対策の実施とその
状況報告を求める「報告命令」を出した。日赤血液事業部は「回収命令につい
ては直ちに着手。至急に審議会などで輸血用血液の安全性向上に資するよりよ
い方策の確立をしていただきたい」と、従来の対抗姿勢を崩し、命令に従う方
針を示した。
同省などによると、献血時の検査では陰性だった供血者の血液製剤でB型肝炎
に感染したとみられる事例が日赤から報告された。同じ人が2カ月後に献血し
た際の検査では陽性だった。
B型肝炎、C型肝炎やエイズウイルスは、感染後一定期間(ウインドウ期)は
検査結果が陰性となる。そのため同省は同12日、日赤に対し、検査で陽性が
判明した供血者の供血歴をさかのぼり、過去1年間に献血の機会があった場合、
(1)未使用の輸血用血液製剤は回収(2)使用された場合は患者に感染リス
クがあることを情報提供する――ことを求めた。
これに対し日赤は、「すでに国が定めた基準に適合しているにも関わらず、輸
血用血液として不適格であったことを意味し、献血者の善意に報いることにな
らない。安定供給面でも甚大な支障が生じ、わが国の輸血医療を危険にさらす
と推察される」と回答。指導は「非科学的」と反論していた。