日本医師会の青柳俊副会長は11月19日、医療フォーラム主催のセミナーで、04
年度診療報酬改定について、「従来のように、物価や賃金をもとにして何パー
セントの引き上げを要求するといった指標には矛盾がある」と述べ、中医協の
審議で、「人」と「物」の評価といった観点で改定を求めていく方針を改めて
示した。一方、健康保険組合連合会の対馬忠明常務理事は、「健保組合や政管
健保、国保が赤字を抱える中で、（改定議論は）賃金や物価に戻らざるを得な
い」と応じ、経済社会情勢を反映した改定を求める考えを述べた。

セミナーでは、青柳氏、対馬氏と、日本薬剤師会の漆畑稔常務理事の３人がパ
ネルディスカッション。同日午前開催した中医協総会での議論の場を移した形
になった。

医薬分業に関し、漆畑氏は薬剤師による処方医への疑義照会率が処方せん枚数
の2.38％、疑義照会による処方変更が1.6％に上る状況を示しながら、分業の
評価の必要を指摘。青柳氏は、「分業でコストが高くなることを支払い側や国
がどうとらえるか」とただしたのに対し、対馬氏は、「分業率が５割を達成し
一般に浸透し、共通の土俵で議論できるようになった」と、歓迎する構えを見
せた。