厚生労働省は６月18日、04年度版厚生労働白書をまとめた。今回のテーマは、
「現代社会を取り巻く健康リスク――情報と協働でつくる安全と安心」。医療
安全に関する章では、29ページにわたり現状や施策を解説した。「医療技術の
進歩や治療内容の高度化、複雑化を背景に、今日の医療は様々な職種からなる
チームと多種多様な医薬品や医療機器によって提供されるものに変化。患者の
安全確保には、医療安全対策を『組織』という観点からとらえ直す必要が出て
きている」としている。

その上で、UFJ総合研究所が行った意識調査で、医療機関や医師などに対し不
安を感じることが「ある」と答えたのは「時々」を含めると73.3％になること
などを紹介。「医療に対する国民の意識が変化するとともに、医療機関におけ
るリスクを国民が認識するようになった」と分析した。また、日医総研による
別の調査で、医療訴訟が増加している理由として、医師は「患者意識の変化」
（73.5％）とする回答が多いのに対し、国民は「医師や医療機関の対応の悪さ」
（45.9％）が最大の理由に挙がったことも示した。

一方、医薬品の取り違えによる事故に関し、アマリールとアルマール、アロテ
ックとアレロック、タキソールとタキソテールなど「間違いやすい医薬品」を
例示。厚労省として、（１）新たに開発される製品は販売名を含め既存のもの
との取り違えや誤使用などのリスクを軽減するための方策に取り組む（２）す
でに承認され流通している医薬品についてもラベル表示のあり方を検討――に
ついて指導することしている。