【MixOnline】パンくずリスト
【MixOnline】記事詳細

東和薬品・吉田社長 田辺の工場買収で特許満了医薬品の安定供給に一歩 長収品の「安全性情報は価値」

公開日時 2026/07/09 04:53
東和薬品の吉田逸郎代表取締役社長は7月8日に開いた記者説明会で、田辺ファーマの製造子会社の買収について、東和薬品の進める“特許満了医薬品の安定供給エコシステム構築”の一環であることを言明した。田辺ファーマファクトリーの小野田工場、吉富工場の製造拠点に加えて、デパスやウルソなど17成分35品目の製造販売承認も承継する。吉田社長は本誌に対し、「治療上必要な医薬品の安定供給ができるのであれば、(制度上で長期収載品、ジェネリック、AGなどと)分ける必要がないのではないか」として、現行の薬価制度についての課題を口にした。「長期収載品の長年にわたり蓄積された安全性情報は製品の価値だと思っている」との考えを示した。こうした資産を継承する意義を強調した。

◎1月に大塚製薬、4月にCDMOのアドラゴスファーマ川越、三和化学と相次いで協業合意

同社は、今年1月に大塚製薬、4月にはCDMOのアドラゴスファーマ川越、三和化学と相次いで協業に合意したことを発表。ジェネリックだけでなく、長期収載品も含めた特許切れ医薬品を“特許満了医薬品”と位置づけ、安定供給に向けた施策を進める。今回の買収もこの一環に位置付ける。同社の中村豪之取締役も、「生産能力の単純な拡大のみを目的としているものではなく、当社が一貫して進めてきた特許満了医薬品の安定供給エコシステム構築を具体的に実装していくための重要な戦略の一環」に位置付ける。

医薬品の供給不安が長引き、ジェネリックの少量多品目構造が課題となる中で、同社は長期収載品メーカーを協業先とする戦略を選んだ。吉田社長は、「長期収載品を作っている先発メーカーの工場は稼働率が非常に落ちている。生産能力のある工場を使わないまま、朽ち果ててしまうのはもったいない。日本に必要な医薬品の製造ができる場所があって、それも品質管理、製造管理、インフラもしっかりした工場をなくしてしまうことは果たしていいのかというような思いがあった」と話す。

こうした吉田社長の想いもあり、同社は2024年5月以降、自ら描いた“特許満了医薬品”の安定供給の姿実現に向けて、長期収載品メーカーに協業を呼びかけた。その中の一社に、田辺三菱製薬(当時)もあった。こうした中で、三菱ケミカルグループは2月7日、田辺三菱製薬をベインキャピタルに約5100億円で売却。「少し事態が変わった中で、話が進んできた」(吉田社長)と振り返る。協業をベースに議論を進めてきたが、ファンドが親会社であることもあり、長期的な協業が難しいとの判断もあり、最終的に買収するという判断に至った。

◎5工場体制で30年度に240億錠、36年度には「300億錠以上」と生産能力の増強見込む

同社の3工場に小野田工場(山口県山陽小野田市)、吉富工場(福岡県筑上群吉富町)が加わり、5工場体制となる。自社の生産効率化および協業により、26年度の180億錠体制から、30年度に240億錠、36年度には「300億錠以上」と大幅な生産増強を視野に入れる。小野田工場、吉富工場について吉田社長は、「まだ(2工場を)実際に見ていないのでわからないが、土地はものすごく広い。(増産などの)可能性は非常に高いと思っている」と話し、設備投資を進める考えも明かした。

吉田社長は、「これは考えているビジョンの一部。これで終わりではなく、まだ続いていく」と話し、協業をベースに生産体制強化を図る姿勢を鮮明にした。背景にはいまなお続く供給不安がある。吉田社長は、「まだ増産をして供給がどこまで追いつくのか見えない。需要に供給が追い付き、さらに有事の際にも安定供給できる“バックアップ生産体制”構築まで進めていきたい」と意欲をみせる。

小野田工場は治験原薬や原薬の製造拠点として、最新のGMPに準拠。FDAによる査察なども経験している。グローバル基準に準拠した品質管理・製造管理・品質保証体制を有しており、またこれらを経験し、ノウハウを有する人材がいる。中村取締役は、「我々はこれから海外に出ていく人材を育成したいと考えており、学ぶ部分がある。一方、我々は、多品種を効率的に作っており、生産効率が高いという自負もある。これを小野田工場や吉富工場にノウハウとして入れることで、さらに稼働率を上げて成長させていいけるのではないか」と期待を寄せる。

◎ウルソ、デパス、ブロチゾラムなど17製品35規格 田辺ファーマから承継

あわせて、ウルソ、デパス、ブロチゾラムなど17製品35規格について、国内の製造販売承認と製造販売権を田辺ファーマから承継する。

吉田社長は、「長期収載品は現行の政策では非常に価値がないとなっているが、安全性情報の蓄積が非常に大事だと思っている」と表明。現行制度下では、長期収載品が撤退した場合に安全性情報が失われるリスクがあることから、長期収載品の承継により、安全性情報を引き継ぐメリットを強調した。

今回承継した品目の中には、東和薬品がジェネリックとして販売する成分も含まれているが、これらの重複品についての品目統合は、「その次に考えること」と話す。「成分名が覚えられず、ブランド名が頭に浮かぶという医療関係者も多い。品目統合によりジェネリックだけになった場合に、医療関係者にわかりづらいということ。先発品がなくなると、医療ン関係者に安全性について尋ねられても答えられない可能性もある」との課題認識を示し、今後さらに検討を進める考えを示した。

26年度診療報酬・薬価改定では、長期収載品の選定療養が拡大されたほか、AGの薬価が見直されるなど、長期収載品やAGには厳しい風が吹いている。吉田社長は、「長期収載品は非常に価値のない政策となっている」と指摘。そのうえで、「治療上必要な医薬品であれば、(制度上で長期収載品、後発品、AGなど)分ける必要はないのではないか」との考えを表明した。また、「現行の市場実勢価格主義は、時代として違うのではないかと私は思っている。医療費が削減できるというのはわかるが、安売り競争をして価格を下げてしまい、市場実勢価が下がって商品価値も下がる。採算が合わないので供給できない、というようなことがあっていいのか」と話し、薬価制度の見直しの必要性を強調した。


プリントCSS用

 

【MixOnline】コンテンツ注意書き
【MixOnline】関連ファイル
【MixOnline】記事評価

この記事はいかがでしたか?

読者レビュー(21)

1 2 3 4 5
悪い 良い
プリント用ロゴ
【MixOnline】誘導記事

一緒に読みたい関連トピックス

大幅削減が一巡し 「横ばい」傾向が鮮明に
後発品メーカーのMR数

大幅削減が一巡 「横ばい」傾向が鮮明に

2026/06/01
後発品メーカーのMR数は、回答のあった9社で計1733人となった。増減数でみると日本化薬の11人減が唯一の二桁で、どの企業もほぼ横ばいとなった。
減少から回復基調へ 新卒・中途とも増加傾向
新卒・中途とも増加傾向 人材投資が加速

MR採用動向 減少から回復基調へ

2026/06/01
製薬企業のMR採用が、新卒・中途ともに増加傾向に転じている。新卒採用を開示した39社のうち半数以上が前年より採用数を伸ばし、MSDは6年ぶりに新卒採用を再開した。
【MixOnline】関連(推奨)記事
【MixOnline】関連(推奨)記事
ボタン追加
【MixOnline】記事ログ
バナー

広告

バナー(バーター枠)

広告

【MixOnline】アクセスランキングバナー
【MixOnline】ダウンロードランキングバナー
記事評価ランキングバナー