日医・健保連 厚労省試案に反対
公開日時 2005/10/19 23:00
日本医師会と健康保険組合連合会が、厚生労働省の医療制度改革試案に猛反発
している。両団体は10月19日、それぞれ省内で会見し、試案に対して反対声明
を発表した。中医協の診療側と支払側が揃って、厚労省に異議を申し立てた格
好だ。
日医の櫻井副会長は、「医療保険部会や医療部会は審議中で報告書が出ていな
い。議論が途中の段階で(改革案を)つまみ食いした試案で問題がある」と指
摘。さらに「一生懸命に医療費抑制だけを言っている。これで適正化といえる
のか」と語気を強めた。
松原謙二常任理事も「給付の見直しは患者の自己負担増でしかない。患者は受
難者。過重な負担を求めるのは間違い」と厳しく断じた。さらに、医療費適正
化計画の開始後3年目に達成度合いに応じて都道府県間で診療報酬に差をつけ
る政策には「全体の(医療費の)枠ではなく、ひとつひとつの政策を積み重ね
が適正化。皆保険制度のなかで正しいか疑問だ」と厳しく批判した。
一方、健保連の福岡道生会長は、新高齢者医療制度や退職者医療制度の存続案
について「到底受け入れられない」と強調した。新制度は75歳以上を対象年齢
としており、年金給付との関係性から65歳以上を主張していた健保連の意見と
は異なるためだ。
厚労省試案が65歳以上の前期高齢者を財政調整制度の対象とするため、健保連
には負担が生じる。厚労省が試算した医療制度改革による財政影響をみると、
政管健保や共済組合、市町村国保、公費が医療保険を賄うために必要な保険料
を減少させるのに対し、健保組合だけが1600億円負担が増える見込みだ。対馬
忠明専務理事は「極めて不可解で憤りを感じる」と不快感を露にした。