医薬品機構・森新薬審査第一部長 「世界に追いつく挑戦を応援する」
公開日時 2006/09/28 23:00
医薬品医療機器総合機構の森和彦・新薬審査第一部長は、9月28日から横浜市で
開かれている日本がん学会学術総会で講演し、「欧米からの周回遅れが常態化し、
非常に不本意。後追いを続けているようではこの状況から逃れられない」と述べ、
挽回策として国際共同治験への参画に加え、イノベーションの積極的な取り入れ
が鍵を握ると主張した。
開発の効率化に役立つバイオマーカーの探索や、早期段階からのファーマコゲノ
ミクス(薬理遺伝学)の導入、トランスレーショナルリサーチなどの必要性を説
き、「世界に追いつく可能性を追求する挑戦を応援する。何とかして盛り返して
いきたい」と語った。
森部長は「一国一地域では患者を集めることは難しく、フェーズ3で十分なサン
プルを確保できず、不完全なままエビデンスを考えなくてはいけない」と指摘し
た上で、「世界同時並行開発が当たり前になってきているが、国内外の利用可能
なデータをかき集め、データの量を増やして質を高めることが必要」とした。
日本人が創製したにもかかわらず、欧米やアジア諸国より承認が遅れた大腸がん
治療薬オキサリプラチンを例に挙げ、「併用療法(FOLFOXレジメン)という異例
の形で承認をせざるを得なかった」とコメント。「日本での臨床開発の着手が非
常に遅い。開発が遅くてはどうにもならない」と述べた。