タミフル問題 日本で精神・神経症状多いのは医師の認知度が高いから?
公開日時 2007/12/24 23:00
スイス・ロシュのデビッド・レディ医薬事業副社長は中外製薬が12月20日に開
いたメディアセミナーで、インフルエンザ治療薬タミフルの服用患者で確認さ
れた精神・神経症状は主に日本で報告されていると説明した。「なぜ日本で多
いのか明確でないが、同症状に対する医師の認知度が高いためである可能性が
ある」とコメント。同氏によると、タミフル服用患者100万人あたりの発症頻
度(小児)は、日本が99人であるのに対し、米国は19人、その他の国で35人と
いう。また、「タミフルが精神・神経症状に関与するメカニズムは確認されて
いない。インフルエンザそのものが同症状を引き起こす可能性がある」との見
解を示した。
同氏によると、ロシュが実施した臨床試験(日本を除く1万3000人のデータ)
では、プラセボ服用者に比べ、タミフル服用者で精神・神経症状は増加しなか
った。また、米国ヘルスケアデータベースでも、非服用者に比べ、タミフル服
用者に増加は確認されなかった。一方、300万人を超えるインフルエンザ患者
の医療記録に関する英国医療データベースでは、患者での精神・神経症状の発
症リスクは健常人の1.75~2.5倍あり、統計学的に有意な増加が確認された。
11月27日開かれた米FDAの小児諮問委員会では、ロシュから提出されたデータ
を踏まえ、▽精神・神経症状が薬物療法によるものではなく、インフルエンザ
感染症によって発症する可能性がある▽同症状には未だ不明な点がある▽同症
状は急に発現する▽「負傷に至るような行動」をした症例で死亡例があった▽
同症状の発現はまれである―などの事項を添付文書に記載することを推奨さ
れたことも説明した。