ヤンセンファーマ 07年13.7%増収、再び成長軌道に
公開日時 2008/04/03 23:00
ヤンセンファーマの関口康社長は4月2日の記者会見で、07年の売上高が対前
年比13.7%増の841億円(決算報告ベース)となり過去最高だったと発表した。
薬価ベースで5.5%増の968億円で、再び成長軌道に乗ったことを強調した。統
合失調症治療薬リスパダールや06年以降に発売した新製品が寄与した。99年か
ら7期連続2桁増収を続けてきたが、06年は一転して2桁減収となったものの、
07年は新製品などの伸長で再び増収となった。
関口社長は07年を「実態としては厳しい1年だった」と振り返りつつ、最も売
上への貢献度が高かったリスパダールについて「昨年後発品が参入して大変懸
念していた。昨年OD(口腔内崩壊錠)や内用液・分包3mlを発売するなど剤型
を増やすことで、アドヒアランスを高め、後発品と差別化できる道をつくった」
と説明した。06に発売した多発性骨髄腫治療薬ベルケイドや抗真菌剤イトリゾ
ールの内用液、注射剤なども貢献した。
主力品の売上高(薬価ベース)は、▽リスパダールが4.4%増の345億円▽イト
リゾールが4.6%減の179億円▽デュロテップパッチ(がん性疼痛)が1.6%増
の186億円▽トレドミン(SNRI)が0.2%減の36億円▽ニゾラール(外用・真菌)
が2.5%減の32億円─。イトリゾールの減少は、爪白癬治療薬市場の縮小や後
発品参入による競争激化などが要因。市場拡大に向け、今年は大規模DTC(テ
レビCMほか)を実施する。また、デュロテップパッチについては「医療用麻薬
市場がほとんど拡大していない」と説明。従来の協和発酵との併売から、4月
からは単独販売に移行したが、「がん性疼痛治療の普及、啓発活動に注力する」
との方針を示した。
今後の展望については、「新製品の寄与が十分でない。06~08年は踊り場」と
しながらも、09年以降は大型品の上市でさらに成長する可能性があるとした。
開発パイプライン(開発後期)には、新規化合物としてパリペリドン(統合失
調症、申請準備中)、「TMC125」(HIV、申請準備中)、ガランタミン(認知
症、フェーズ3)などがある。将来は新規開発分野として、セントコア社のパ
イプラインを中心に抗体医薬の開発にも取り組む方針だ。ウステキヌマブ(抗
IL-12/IL-23p40モノクローナル抗体)は欧米で乾癬で申請中だが、国内開発
も検討する。ゴリムマブ(抗TNFモノクローナル抗体でレミケードの後継品)
は日本ではフェーズ2以降にあり、田辺三菱製薬と共同開発を行う予定。
営業面では、2010年を見据えた基盤づくりのためのプロジェクト「DDD10」を
進行中で、07年1月に実施した組織再編に続き、08年1月から4営業部制(16
支店、147課)に移行。MR数は865人(CNS課133人、血液腫瘍課62人)で、コン
トラクトMR約30人を採用している。