久光製薬 MBOによる株式非公開化を決議 中冨社長の資産管理会社がTOB 買収総額は4000億円程度
公開日時 2026/01/07 04:53
久光製薬は1月6日の取締役会で、マネジメント・バイアウト(MBO)による株式の非公開化を決議した。中冨一榮代表取締役社長が代表を務める資産運営会社「タイヨー興産株式会社」がTOB(株式公開買付け)を行い、久光製薬の全株式を取得する。期間は1月7日~2月19日。買収総額は4000億円程度。その後、東京証券取引所プライム市場、名古屋証券取引所プライム市場、福岡証券取引所のそれぞれで上場廃止に向けた手続きを行う。今回のMBOについて同社は、「貼付剤技術をベースに事業活動を展開してきたが、現在の事業環境の下、より高度で持続的な成長と高い収益力の実現を図るためには、これまで以上に積極的かつ迅速・確実に様々な施策を実行することが必須であるとの考えに至った」と説明した。なお、MBO後の経営体制は中冨社長はじめ現在の経営体制を維持する予定。
同社の医療用医薬品事業は、経皮鎮痛消炎剤「モーラステープ」、「モーラスパップXR」、経皮吸収型持続性がん疼痛治療剤「ジクトルテープ」などの主力品が業績を牽引。一方でOTC事業は、発売 90周年を迎えた「サロンパス」をはじめ、「フェイタス」、「のびのびサロンシップ」、「エアーサロンパス」などの外用鎮痛・消炎薬ブランドを中心に成長した。一方で海外市場でも「Salonpas」が 2016年から9年連続で販売シェア世界ナンバー1ブランドの地位を築いてきた。
◎「当社グループの持続的な成長を実現していくことは困難」
一方で、近年の医薬品・ヘルスケアビジネス市場の懸念として、個人の生活観・価値観の変化やデジタル化の進展、高齢化の急激な進展、医療費の増加、後発品使用促進策の強化や選定療養制度などの医療費抑制策の継続、さらには米国での医薬品関税や最恵国待遇価格政策などに代表される規制・政策変動に伴う医薬品ビジネスの不安定化など、「社会・経済環境の変化の中で、大きな変革期を迎えている」と分析。中長期的な市場環境やビジネス変革を踏まえ、中冨社長自身が、「当社グループが既存の事業をこれまで同様に発展させていくだけでは当社グループの持続的な成長を実現していくことは困難」と考えていたとも今回明らかにされた。
◎中冨社長 株式上場の継続は「中長期的な施策実行の足枷となる可能性が高い」
その上でMBO実施の判断について中冨社長は、「当社が株式上場を継続する限りは株主を意識した経営が求められ、短期的な利益確保・分配への配慮が必要になることから、当社株式の上場が、短期的な利益水準の低下やキャッシュ・フローの悪化等を招くおそれがある一時的な費用支出や先行投資、抜本的な構造改革等の中長期的な施策実行の足枷となる可能性が高い」と考え、2025年10月中旬に初期的な検討を行っていることを取締役に伝達し、株式非公開化についての具体的検討に着手したことを報告している。
◎医療用薬事業の価値最大化と事業変革 海外OTC事業のラインナップ拡充と事業拡大に注力
MBO成立後の方向性について、医療用医薬品事業における既存製品の価値最大化と事業変革に向けた投資に注力する。また、国内のOTC医薬品事業における価格転嫁及びコスト管理による収益性の改善と、海外のOTC医薬品事業における製品ラインナップの拡充及び事業の拡大に向けた投資、さらに国内OTC医薬品事業における通信販売およびEC販売の拡大といった施策を想定。中長期的な企業価値向上のために積極的に推進していくと位置付けた。
◎株式公開買付け(TOB)の期間は1月7日から2月19日までの30営業日
タイヨー興産株式会社による久光製薬の株式公開買付け(TOB)の期間は、1月7日から2月19日までの30営業日。買付け価格は普通株式1株につき6082円。買付予定数は6468万1878株(下限4111万9400株)となる。
一方、久光製薬は1月6日の取締役会で、今回のMBO実施に伴い、2026年2月期業績予想の取り下げを決議した。また、26年2月期配当予想もTOBの成立を条件に、配当予想を修正し、2月期の期末配当を行わない旨の決議を行った。