厚労省・安対調査会 ヘパリン製剤、品質・安全性確認で出荷再開へ
公開日時 2008/04/22 23:00
米国で起こった血液凝固阻止剤ヘパリンなどの副作用死問題に関し、厚生労働
省の薬食審・医薬品等安全対策部会安全対策調査会は4月22日、ヘパリン製剤
などの品質管理や安全性に関する情報の収集・提供を徹底するなどの対応策を
まとめた。問題となったヘパリンに含まれていた不純物(高度に硫酸化された
コンドロイチン硫酸)の検出方法を米FDAが公表したことや、同剤が現場では
医療上であるなどの理由のため。米国でのヘパリン製剤の副作用問題を巡って
は、テルモ、大塚製薬工場、扶桑薬品工業の3社が販売するヘパリン製剤の一
部を3月8日から自主回収していたが、企業側も出荷停止を解除する見通しと
なった。
同調査会は、企業が▽医薬品と原材料について品質に問題がないか、製造業務
が適正かなどの確認を行う▽原料として使用される精製ヘパリンなどについて
不純物が含まれていないかをFDAが公表した方法を参考にロットごとに検査す
る――などを徹底するとした。また、▽添付文書に記載されているショックな
どの副作用に注意して使用し、ヘパリン製剤の使用中や使用直後は血圧低下や
意識低下などの症状がないか慎重に観察する▽ヘパリン製剤を使用するときは
投与量や投与速度を留意する――を医療関係者に情報提供し、注意喚起の徹底
を図る。
厚労省によると、米国では昨年12月以降、米バクスター社製ヘパリンナトリウ
ムを投与後にアレルギー反応などの副作用症例が増加、1月1日から3月31日
までに771症例(うち81人が死亡)が報告されている。通常のヘパリンには含
まれない不純物が検出されたとしているが、アレルギーとの因果関係は不明と
している。
国内では、3社がヘパリン製剤の一部でバクスター社と同じ米SPL社から供給
を受けていることがわかり、副作用が報告されていないものの「予防的安全確
保措置」として自主回収に踏み切った。不純物は製剤の製造開始前の原薬から
検出されているが、出荷された精製ヘパリンからは検出されていない。ヘパリ
ン製剤は救急現場や透析治療など医療上重要な医薬品であり、テルモと大塚製
薬工場で6割弱のシェアを占めていることから、現場では不安が広がっていた。