製薬協政策研 一方的な薬剤費抑制は新薬開発に悪影響
公開日時 2008/12/23 23:00
日本製薬工業協会医薬政策研究所の岩井高士主任研究員は、医薬品価格水準の
上昇は新薬開発品目を増加させることが推定されるとの研究報告をまとめた。
新薬開発を活性化させるには「一方的な薬剤費抑制策や薬価が恒常的に下落す
る価格システムを見直すことが有効」と指摘した。
岩井氏は、日本を含むOECD加盟11ヵ国を対象に、市場規模や後発品シェアなど
の市場要因が新薬開発にどう影響するかを統計的に分析した。その結果、医薬
品市場規模と医薬品価格水準の各1%の上昇は、それぞれ開発品目数を0.2~0.
3%増加させることが推定された。
これとは別に、後発品の使用促進策のみを一方的に進めた場合について、過去
のトレンドをベースにシミュレーションしたところ、2020年度で開発品目数は
0.7~4.1%程度減少するとの試算も併せてまとめた。
岩井氏は、新薬開発を増やすには、発売した製品が早期に売上ピークを迎える
ことによって投資コストを早期に回収できるようにすることが必要だとして、
特許期間中は薬価を維持する日本製薬団体連合会の薬価制度改革案は「1つの
方法として注目される」と指摘した。