バイエル 新薬の経済学的価値を検討 新薬価制度への対応も視野
公開日時 2009/03/26 23:00
バイエル薬品は、新薬の価値を医療経済学的側面からも検討する組織を立ち上
げ、薬価設定への反映を試みることになった。新薬の薬価をコスト増と捉える
だけでなく、新薬の投入により入院治療から外来治療に切り替えられるといっ
たコスト抑制面にも着目。新薬の価値を総合的に判断し、薬価設定の根拠の
1つとしたい考え。
「ヘルス・テクノロジー・アセスメント」(HTA)と呼ばれる取り組みで、そ
のための組織を昨年12月に設置したという。3月26日の記者会見でジャン・リ
ュック・ロビンスキー社長は、「(薬価は)将来、コストだけの話し合いから、
どういう付加価値をイノベーションが提供するかというところにシフトしてい
く」との見通しの中での取り組みであることを説明した。
栄木憲和会長は、「日本の薬価制度をどうするかということに対し、業界がど
う対応していくのか。そこにリンクが必要ということで組織を立ち上げた」と
述べ、薬価維持特例の導入が検討されている新薬価制度案が実施された場合に、
新制度での新薬価値の裏づけとしてHTAを活用していく考えも示唆した。
そのほかロビンスキー社長は、08年度に続き09年度もがん領域の営業力を強化
する方針を明らかにした。08年4月の発売した分子標的薬ネクサバールへの肝
細胞がんの適応追加が09年内にも承認される見込みであるため。08年は約50人
増員して約130人。09年には40人程度増員する予定だという。