第一三共・庄田社長 取締役賞与無支給へ、国内シェア6%回復目指す
公開日時 2009/05/14 23:00
第一三共は、昨秋買収した印ランバクシー・ラボラトリーズ(以下、ラ社)の
評価損に伴い、09年3月期(08年度)決算の純利益が3358億円の赤字となった
ことを受け、取締役に対する08年度の賞与を無支給とする方針を明らかにした。
同社が5月13日に都内で開いた決算説明会で庄田隆社長兼CEOが語ったもので、
「09年3月期決算が大幅な純損失となったことを厳粛に受け止めている」と話
した。
また、庄田社長はラ社が米FDAから通知を受けた問題の解決に向けて、「これ
までラ社の経営の独立性の尊重を重視してきたが、経営への参画を強めたい」
との姿勢を示した。ラ社はFDAに虚偽の安全性試験データを提出したとされて
いるが、同氏は「ラ社はインドを代表する企業で、人材面を含め優れた会社で
あり、(買収したことについて従来の考えと)認識に変わりはない」と述べつ
つ、ラ社に関し「医薬品の品質保証の概念には新薬であろうとジェネリックだ
ろうと差はない。それに関するラ社の感応度が低かったといわざるをえない。
ラ社だけでは解決できないのではないか」として、第一三共が関与を強める理
由を説明した。
一方で、ラ社が国内で承認を取得していたクラビットの後発品については「第
一三共グループに入る前に進めていたかもしれないが、第一三共グループの中
で判断する。薬価申請をしない」との方針も明らかにした。
09年度の経営課題についても触れ、第Ⅰ期中期経営計画(07~09年度)の最終
年度にあたる同年の業績が目標未達成になる見込みであり、「営業力が最大限
発揮されていない」と述べ、MRのクロスワイズ体制の進化による製品ポテンシ
ャルの最大化で国内シェアの回復を目指す考えを強調した。07年度はシェアが
6%台だったが、08年度には5.95%に落ち込んでいる。