久光製薬 経皮吸収技術に強み持つ米国ノーベン社を買収 米国進出へ
公開日時 2009/07/15 04:00
久光製薬は７月14日、経皮吸収製剤や関連技術に強みを持つ米国ノーベン・ファーマシューティカルズを買収すると発表した。医療用医薬品で米国進出することが狙い。両社は同日に買収に関する最終契約を締結した。買収総額は約4.3億ドル（１株あたり16.50ドル）。米国時間14日から10営業日以内に株式公開買い付けを行うなどして、完全子会社化を目指す。
久光は米国でOTC事業を手がける久光アメリカを持つ一方で、医療用医薬品事業では進出していなかった。これまで米国進出を検討してきた結果、01年から戦略的提携関係にあるノーベン社を買収することが最良と判断した。買収成立後は、ノーベン社を久光の米国医療用医薬品事業の柱に位置づけ、「久光ブランド」を確立する。
ノーベン社は医療用医薬品を開発・製造・販売する製薬企業で、独自の経皮吸収技術を活用して中枢神経領域や婦人科領域で存在感を発揮している。主要製品は経皮吸収タイプのADHD治療薬やエストロゲンの経皮吸収製剤など。複数の開発パイプラインを持つ。同社の業績（08年１～12月）は売上高１億820万ドル、研究開発費1550万ドル、営業赤字1430万ドル。
久光の中冨博隆社長（写真）は、同日夜に東京都内で開いた記者会見で、「ノーベンの挑戦力とアイディアに私どもの品質といった互いの特長を合体したところが末恐ろしいというか、はり薬で世界に打って出るチャンスがある」と述べ、経皮吸収製剤で世界進出する上で重要な戦略的投資だとの認識を示した。