エーザイ ファイザーとのアリセプト共同販促契約変更 日本は13年にエーザイ単独へ
公開日時 2009/09/28 04:02
エーザイは9月25日、日本、米国、欧州4か国でアルツハイマー型認知症治療薬「アリセプト」のコ・プロモーション(共同販促)契約を結んでいる米ファイザーとの間で、契約内容を一部変更することなどで合意したと発表した。日本でのコ・プロ契約は2012年末で終了、13年1月からエーザイの単独販売とする。また、米国と欧州4か国のコ・プロ契約では、利益配分などの経済条件をエーザイに有利な形に見直すことで一致した。
エーザイはこれまでに、ファイザーが米ワイスを買収したことから、ファイザーと94年に締結したアリセプトの戦略的提携契約を終了する権利があると主張。これにファイザーは異を唱え、両社間で解決策を協議していた。このやり取りは5月に明らかになっていた。
協議の結果、米国時間の9月24日に「包括的な合意」に至り、▽アリセプトの契約内容の一部変更▽ファイザーの神経障害性疼痛治療薬「プレガバリン」(一般名)の日本でのコ・プロの実施――の大きく2点で折り合った。具体的には、アリセプトについては米国、英国、ドイツ、スペイン、フランスの米欧5か国で実施中のコ・プロを22年7月まで継続するとともに、経済条件を見直した。この米欧のコ・プロ期間が、従来の契約よりも延長したのか短縮したのかは明らかにしていない。また、経済条件の詳細も非公表だが、エーザイに有利になったという。一方、日本市場でのコ・プロ契約を12年末で終了することについては、「もっと長い契約だったものが、大幅に短縮された」(エーザイPR部)という。
アリセプトの物質特許は日本で11年6月、米国で10年11月に満了する。アリセプトの全世界の売上高は09年3月期で3038億円(前期比4.4%増)、10年3月期で3300億円(8.6%増)を見込む。
一方、ファイザーのプレガバリンは、米欧で製品名「リリカ」で上市しており、08年12月期の全世界の売上高は25億7300万ドル(41%増)と急成長している。ファイザーでは最主力品の高脂血症治療薬「リピトール」に次ぐ売り上げ規模をほこり、次期主力品のひとつに位置づけられている。日本では08年5月に帯状疱疹後神経痛の適応症で、09年8月には末梢神経障害性疼痛の適応症で申請した。エーザイは末梢性神経障害治療薬「メチコバール」で同治療薬市場に浸透しており、プレガバリンの売上最大化が期待できるとの判断に至ったようだ。なお、日本市場でのコ・プロの具体的なスキームは明らかにしていない。
エーザイは今回の合意について、「10年度以降の売上高ならびに利益面にポジティブな影響が期待できる」とコメント。売上げ面はプレガバリンが、利益面はプレガバリンとアリセプトの日本の単独販売及び米欧での経済条件の変更が、それぞれ寄与するとしている。