シミックホールディングスの中村和男代表取締役会長CEOが12月5日、心筋梗塞のため死去した。78歳。通夜・告別式は近親者のみにて執り行われる予定で、後日お別れの会を執り行う。

中村氏は1969年4月に三共（現 第一三共）に入社。高脂血症治療薬・メバロチンの開発プロジェクトリーダーを務めた。その後、1992年に三共を退社し、日本初のCROとなるシミック株式会社を創設。同年3月に代表取締役社長に就任。2003年10月に同社代表取締役会長兼社長CEO 、2013年12月にはシミックホールディングス代表取締役会長兼社長執行役員CEO 、2018年4月から同社代表取締役会長執行役員CEOを経て、2021 年4月に同社代表取締役会長CEOを歴任した。 

このほか、1994年に「日本CRO協会」の発足に携わり、事務局長に就任。CRO協会では1999年～2012年まで会長を歴任した。

中村氏はシミックでのビジネスを通じ、コアビジネスであるCROをはじめ、SMO(治験施設支援機関)やCDMO（医薬品開発製造受託機関）などを展開し、製薬企業のバリューチェーンの全てを支えてきた。

◎「僕らが目指すのは、全く新しい形のヘルスケアサービスの会社だ」

中村氏は2024年３月に本誌インタビューに応じている。「僕らが目指すのは、全く新しい形のヘルスケアサービスの会社だ」―。マネジメント・バイアウト(MBO)を進めていたシミックHDは24年3月28日付で上場廃止した。その翌日のミクスOnlineニュースに掲載された中村氏のコメントだ。「我々の“一丁目一番地”である製薬産業を支えるビジネスの根幹、創薬力が揺さぶられている」と中村氏は警鐘を鳴らす。続けて、創薬力強化を支援する仕組みづくりという観点からも「構造改革は必須だ」と力強いメッセージを発してくれた。

このインタビューの終盤に心に刺さるフレーズがあった。「シミックとして2030年の姿をどう描いていますか」と投げかけた質問に中村氏は、「日本は最先端技術がある長寿国で世界的にも非常にユニーク。日本の強みを生かしながら健康を支え、マネージする事業展開ができれば、世界の生きがいにつなげられる。まだまだ勝ち目はあるのではないか。僕らが目指すのは、全く新しい形のヘルスケアサービスの会社だ。もう一度創業した時と同じような気持ちで臨む。それ以上かもしれない」―。

ご冥福をお祈りします。