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TIA診断で新診断基準やリスクスコアの普及進まず

公開日時 2010/05/13 09:00

一過性脳虚血発作(TIA)の診断に当たって、未だ定義に関してコンセンサスが得られておらず、診断に用いるABCD2スコアなどの脳卒中発症予測スコアもほとんど普及していない――。厚生労働科学研究補助金による「一過性脳虚血発作(TIA)の診断基準の再検討、ならびにわが国の医療環境に則した適切な診断・治療システムの確立に関する研究」班(主任研究者:国立循環器病研究センター副院長・峰松一夫氏)が、全国の脳卒中専門施設に実施したアンケート調査の結果からこんな結果が浮き彫りになった。


調査は、日本脳卒中学会認定研修教育施設683施設を対象に、TIAの診療実態を把握することを目的に実施された。2009年11月上旬にアンケート調査用紙を郵送した、回収率は、72.3%。


TIAの診断基準についてたずねたところ、「神経症状持続時間が24時間以内で、画像上脳梗塞病巣を認めない」(1990年、平井班)が48%で最多。こう回答した施設の9割以上で、MRIの拡散強調画像(DWI)を用いていることも分かった。次いで、「神経症状持続時間が24時間以内で、画像上の脳梗塞巣の有無を問わない」(1990年NINDS-CVD-Ⅲ)が42%。


一方で、昨年の米国心臓病学会(AHA)/米国脳卒中協会(ASA)の共同声明による「神経症状が一過性(持続時間を問わず)で、画像上脳梗塞巣を認めない」は3%、「神経症状持続時間が1時間以内で、画像上脳梗塞巣を認めない(2006年AHA/ASAガイドライン)」は5%、「神経症状持続時間が1時間以内で、画像上の脳梗塞巣の有無を問わない」は2%にとどまった。


また、非脳卒中専門医からTIAの疑いで紹介された症例については、約8割の施設で非脳卒中専門医の診断精度を5割以下とみていることが分かった。


◎厚労科研・研究班 診断基準の見直しやGL作成などに提言へ


早期治療の重要性が叫ばれるTIAだが、発症24時間以内の患者を入院させる割合は「76~99%」が39%、「100%」が18%で次ぎ、約6割の施設で大部分の患者を入院させていることが分かった。ただし、この治療方針決定に米国などで用いられている脳卒中リスク予測スコア(ABCD2スコア等)を用いて判断しているのは7.3%にとどまった。


抗血栓療法については、「原因精査を行った上で、24時間以内に抗血小板療法もしくは抗凝固療法を開始する」が62%で最多で、非弁膜症性心房細動を認めた場合には、9割以上の施設でワルファリンの投与を開始していた。


結果を報告した国立循環器病研究センター脳血管内科の上原敏志氏は、日本国内でTIAの診断基準が1990年から改訂されておらず、専門医療機関での迅速かつ体系的な診療体制が十分構築されていないと指摘。「今後は、TIA患者の後ろ向き調査や前向き患者登録研究を行い、その研究成果を基盤に、TIA診断基準の見直し、ガイドライン(GL)作成および診療システムの再構築の提言を行う予定」と述べた。

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