厚労省 卸からヒアリング 単品単価交渉、薬価差圧縮に努力と卸側
公開日時 2010/05/19 04:03
厚生労働省医政局経済課は、医薬品卸大手4社を含む20社に対し、流通改善の状況や4月から試行導入された新薬創出加算を受けた対応状況についてヒアリングを実施した。4月の薬価制度改革以降では初めての医薬品市場関係者からのヒアリングとなった。
5月10日~14日まで、経済課の流通指導官が卸の営業担当者に対し行った。取材に応じた日下田敏彦主席流通指導官によると、多くの卸から、加算制度の実施を機に、製品の価値に見合った価格形成に向け総価取引を改善し、単品単価の交渉に努めるとの説明があった。同時に、薬価差を圧縮し適正な利益が確保できる価格の提示も進める方針も示された。
加算制度に理解を求める取り組みはメーカーととも進めているとしたが、卸側から見た医療機関の反応は、事務サイドは加算の趣旨は理解しつつも、経営面から現実的な対応をとる姿勢がうかがえるといい、価格交渉の難航を予想させるものとなった。新診療報酬改定下の最初の支払いが6月になることから、それ以降の医療機関側の価格交渉の姿勢がどうなるのか、同課は注目している。
メーカーからの仕切価の提示は告示から3日以内に提示され、割戻しやアローアンスも基準については話し合いを続けているといい、販売時点である程度先が読めるような基準になってきたとの声もあったという。
ヒアリングはこれまで、2月にメーカー、3月にチェーン調剤に対し実施。同じく3月には日赤や労災、自治体など7病院本部に流通改善を要請するとともに、新薬創出加算の趣旨説明を行った。今回、卸のヒアリングの実施も終えたことで、一連の取り組みを整理し、「医療用医薬品の流通改善懇談会」へ報告するため開催準備に入る。開催時期は決まっていないという。