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SGLT-2阻害薬ASP1941 日本人対象のP2で高い有効性・安全性

公開日時 2010/06/29 04:00

 

2型ナトリウム依存性輸送担体(SGLT-2)選択的阻害薬のASP1941の日本人を対象としたフェーズ2(P2)で、高い有効性と安全性が確認された。ASP1941は、SGLT-2を選択的に阻害することで、糖の再吸収を阻害する。滋賀医科大学内分泌代謝内科教授の柏木厚典氏が第70回米国糖尿病学会議のセッション「Pharmacothrapies for the Treatment of Type 2 Diabetes―From the Old to the New」で6月26日、報告した。(米国・オーランド発 望月 英梨)

SGLTにはSGLT-1と、SGLT-2の2つのサブタイプがある。SGLT-2はこのうち、主に腎臓の近位尿細管に発現する。SGLT-1を阻害すると、消化器系の副作用が多いことも報告されているが、ASP1941はこれまでのin vitroの試験からSGLT-2への選択性が高いことがすでに分かっている。また、フェーズ1データから、50mg/日を7日間の投与することで、血漿中のASP1941濃度は最大約50g/日に達することも分かっている。

同試験は、ASP1941の有効性、安全性、薬物動態を検討することを目的に実施されたランダム化二重盲検比較試験。日本国内の39施設で実施された。

日本人2型糖尿病患者を▽プラセボ群68人▽ASP1941の12.5mg/日73人▽ASP1941の25mg/日74人▽ASP1941の50mg/日72人▽ASP1941の100mg/日72人――の5群に分け、治療効果を比較した。2週間のrun-in後、12週間薬剤を投与した。

その結果、HbA1cの低下をみると、プラセボ群で0.48±0.09%上昇したほか、12.5mg群は-0.11±0.09%、25mg群は-0.47±0.09%、50mg群は-0.79±0.09%、100mg群は-0.81±0.09%でいずれもプラセボ群に比べて有意な低下を認め(P値<0.001)、用量依存的な低下を示した。また、空腹時血糖値についても同様に用量依存的な増加をみせた。

また、体重減少効果が大きいことも同剤の特徴だが、プラセボ群で-0.39±0.19kgだったのに対し、12.5mg群では-1.48±0.18kg、25mg群では-1.69±0.18kg、50mg群では-1.81±0.18kg、100mg群では-2.10±0.18で、いずれもプラセボ群に比べて有意な低下を認めた(P値<0.001)。

一方、安全性については低血糖をASP1941の100mg投与群で1例(1.4%)報告されたにとどまった。多く報告された有害事象が頻尿で、12.5mg群で2.7%(2例)25mg群で5.4%(4例)、50mg群で8.3%(6例)、100mg群で1.4%(1例)報告されたが、プラセボ群(2.9%/2例)と大きな差はみられなかった。女性で懸念されていた膣カンジタ症(2件)や細菌性膣症(1件)、外陰そう症(3件)が報告されたが、プラセボ群と有意差はみられなかった。

柏木氏はこれらの結果から、同剤の高い有効性と安全性に期待感を示した。

なお、ASP1941の開発はアステラス製薬と寿製薬の共同で進められている。この試験の結果を受け、両社は同剤50㎎を用いて現在2本のフェーズ3を実施中。▽日本人2型糖尿病患者120人を対象に、同剤を16週間投与し、プラセボ対照で、HbA1cの低下率をみる有効性を検討する試験▽日本人2型糖尿病患者150人を対象に、同剤を52週間投与し、有害事象などの安全性を検討する試験――で、現在患者登録を進めているところという。
 
 

 

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