エーザイのタズベリク 仏・Ipsen社が全地域、全適応で販売中止 血液系二次悪性腫瘍のリスクで
公開日時 2026/03/10 04:51
エーザイは3月9日、抗がん剤・タズベリク(一般名:タゼメトスタット)について日本以外の市場で開発・商業化の権利を有する仏・Ipsen 社が全ての市場、全ての適応症での販売を自主的に中止すると発表した。米国での迅速承認の条件として海外で実施している臨床第Ⅰb/Ⅲ相試験「SYMPHONY-1」で、独立データモニタリングコミッティから血液系の二次悪性腫瘍の有害事象のリスクがベネフィットを上回る可能性があるとの指摘を受けた対応。エーザイは、国内とは適応が異なるなどの違いがあるとしたうえで、「現時点で、血液系の二次悪性腫瘍の有害事象のリスクが添付文書に記載の範囲を超えて増加しているとの報告はない」としている。
◎全ての臨床試験、拡大アクセスプログラムを中止
同剤は、エーザイとIpsenの子会社であるEpizyme, Inc.共同で創出したファースト・イン・クラスの経口EZH2阻害剤。安全性の懸念が指摘された臨床第Ⅰb/Ⅲ相試験「SYMPHONY-1」は、Ipsen社が米国・中国で同剤の濾胞性リンパ腫の適応に対する迅速承認に必要とされる検証試験として実施されている。実施施設は、欧米、中国など15か国229施設で、日本の施設は含まれていない。
SYMPHONY-1では、同剤とレナリドミド・リツキシマブとの併用について再発・難治性濾胞性リンパ腫の二次治療として評価を行っている。独立データモニタリングコミッティ(IDMC)は、血液系の二次悪性腫瘍の有 害事象に関するリスクが期待されるベネフィットを上回る可能性があると勧告を受けた。これを受け、Ipsen 社は、SYMPHONY-1 試験での同剤による治療を中止する措置を開始するとともに、全ての臨床試験および拡大アクセスプログラムを中止するとしている。
◎現時点で血液系二次悪性腫瘍の有害事象リスク増「日本では添付文書超えた報告はない」
日本では2021 年 6 月に「再発又は難治性の EZH2 遺伝子変異陽性の濾胞性リンパ腫(標準的な治療が困難な場合に限る)」の適応で単剤療法として承認されている。エーザイは、「米国の適応や SYMPHONY-1 試験とは前治療歴の規定や投与法(単剤、併用)が異なる」と説明。「日本においては、承認条件に基づく全例調査を実施中であり、現時点で、血液系の二次悪性腫瘍の有害事象のリスクが添付文書に記載の範囲を超えて増加しているとの報告はない」と説明している。
また、同剤を使用する医療機関に対して、SYMPHONY-1 試験で報告された安全性についての情報提供を開始したことも明らかにした。また、新規投与患者に対しては、血液系の二次悪性腫瘍のリスクについて十分説明いただくよう情報伝達を開始しているという。同社は、「規制当局との連携のもと、SYMPHONY-1 試験における 安全性データの詳細を精査し、本剤の適応症の難治性希少疾患としての医療ニーズを踏まえた上で、 リスクベネフィットを継続的に評価してまいる」とコメントしている。