DPP-4阻害薬アログリプチン ピオグリタゾン不十分例に併用で有効
公開日時 2010/06/30 04:00
ピオグリタゾンで十分な血糖コントロールが得られていない患者に対し、アログリプチンの併用が有効であることが示された。アログリプチンのフェーズ3の結果から明らかになった。イタリアのSan Raffaele Scientific InstituteのEmanudle Bosi氏らが6月27日のポスターセッションで発表した。(米国・オーランド発 望月英梨)
この試験は、メトホルミン+ピオグリタゾンを投与しても十分な血糖コントロールが得られない2型糖尿病患者に対し、アログリプチンの併用効果をピオグリタゾンの漸増と比較検討することを目的に実施された。
試験は、メトホルミン1500mg以上に▽ピオグリタゾン30mgを併用してもHbA1c7.0~10.0%▽経口糖尿病治療薬(ピオグリタゾンとDPP-4阻害薬を除く)を併用してもHbA1c≧7.5%――の2群を登録した。他の経口糖尿病治療薬群ではピオグリタゾン30mgに切り替え、12週間投与した。その上で、両群ともに、4週間の安定化期間を置いた上で、ランダム化。メトホルミンに加え▽ピオグリタゾン45mg漸増群▽アログリプチン25mg併用群――の2群に分け、治療効果を比較した。主要評価項目は、投与開始から26週時と52週時のHbA1c変化率。なお、ベースラインでのHbA1cはアログリプチン併用群8.25%、漸増群で8.13%だった。
その結果、投与開始26週時点でのHbA1c変化率は、アログリプチン併用群で-0.89%、漸増群で-0.42%、投与開始52週起点ではアログリプチン併用群で-0.70%、漸増群で-0.29%。アログリプチン併用群は、投与開始26週時点での漸増群への非劣性、52週時点での有意に良好な結果を示した。この結果は、ベースラインのHbA1c値によらないことも分かった。
◎空腹時血糖でもアログリプチンで良好な結果
同様に、空腹時血糖値についてもアログリプチンで良好な結果となった。また、52週投与時点ではHbA1c≦6.5%、HbA1c≦7.0%を達成した割合も、有意にアログリプチンで多い結果となった(P値<0.001)。そのほか、インスリン分泌能を示す指標であるHOMA‐βの有意な改善もみられた(P値<0.001)。
一方、安全性についてみると、有害事象はアログリプチン併用群で71.5%(289例)、漸増群で68.9%(275例)でみられた。低血糖は、アログリプチン併用群で4.5%(18例)、漸増群で1.5%(6例)に発現し、アログリプチン併用群で多い傾向がみられた。Bosi氏らは、「メトホルミン+アログリプチン+ピオグリタゾンの3剤併用は、安全性で有意な違いをみせなかった」と説明。「3剤併用は、臨床的に重要な違いを示せず、良好な血糖コントロールと膵β細胞機能の改善を示した」と結論付けた。