サノフィ ジェンザイム買収にノーコメント
公開日時 2010/08/10 04:00
サノフィ・アベンティスのCristopher Viehbacher CEOは、7月29日の第2四半期業績発表で、ジェンザイム買収のうわさについてコメントしなかった。ただ、同氏が、従来からメガマージャーを行わず、中小規模企業のM&Aに集中すると述べており、その点が今回の買収話の具体性を強調した格好になっている。
同社が考える買収企業の時価総額は50億ドルから200億ドル。現時点でのジェンザイムの時価総額は186億ドルで、この範囲内に入る。
ジェンザイムは希少疾病薬に特化しているが、最近の主力品の製造工程上のトラブルや取締役交代などで買収に弱い経営体質となっている。しかし、同社は小規模患者集団に桁外れに高価な薬剤を販売、高収益を上げる希少疾病薬ビジネスを構築、成功させた。ファイザーやグラクソ・スミスクラインなど大手もそれを横目に見て、希少疾病薬分野に参入しつつある。
現在、ジェンザイムの開発パイプラインには、サノフィ・アベンティスのポートフォリオに加えると、興味深い薬剤が2剤ある。アイシス・ファーマシューティカルズと共同開発中のヘテロ接合体性家族性高コレステロール血症治療薬mipomersenと多発性硬化症(MS)治療薬alemtuzumabだ。
alemtuzumabはすでにCampathの製品名でB細胞慢性リンパ性白血病治療薬として販売されていることに加え、MSの適応取得を目指したフェーズ2で良好な結果を示している。なお、サノフィ・アベンティスはすでにMS領域への開発に参入している。
サノフィ・アベンティスは、主力品のLovenox(enoxaparin)などの特許切れを迎え、対応策が迫られているが、ジェンザイム買収を行わない場合、サノフィは次の一手をどう打つか注目される。
(The Pink Sheet 8月2日号より) FDAと米国製薬企業の情報満載 “The Pink Sheet”はこちらから