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アナセトラピブ 冠動脈性心疾患患者対象に有効性示す 心血管疾患リスク上昇せず

公開日時 2011/01/25 04:00

冠動脈性心疾患患者と心疾患リスクの高い群を対象に、CETP阻害剤のアナセトラピブの効果と安全性を検討した結果、心血管リスクを上昇させることなく、LDLコレステロールの低下とHDLコレステロールの上昇に有効的であることが明らかになった。「DEFINE」試験結果から分かったもの。米Brigham and Women’s HospitalのChristopher P. Cannon氏らの研究グループが、12月16日付の医学誌「The New England Journal of Medicine」で報告した。


HDLコレステロールを上昇させる1つのアプローチとして、HDLのコレステリルエステル転送を促進する血漿タンパクである、コレステリルエステル転送タンパク(CETP)を阻害する方法がある。


CETPを阻害する薬剤は、HDLコレステロールを上昇させ、LDLコレステロールを低下させるものもあるが、最初のCETP阻害剤として開発されたトルセトラピブは、死亡と心血管イベントの増加を引き起こすことがわかり、開発中止となっている。同剤はアルドステロン値と血圧を上昇させ、血清電解質値を変化させたが、後に行われた臨床試験の結果から、これらの有害事象はCETP阻害作用との関連は否定されている。


アナセトラピブは健康な被験者と脂質異常症患者を対象とした試験で、許容可能な副作用プロファイルを持つことが示されており、今回の臨床試験が実施された。


DEFINE試験の対象は、①LDLコレステロールが50~100mg/dL(1.3~2.6mmol/L)②HDLコレステロール60mg/dL(1.6mmol/L)未満③トリグリセリド400mg/dL(4.5mmol/L)以下――を満たす
18~80歳の冠動脈性心疾患があるか、同疾患のリスクが高い患者。無作為にアナセトラピブを1日100mg与える群(811人)かプラセボ群(812人)に1対1で割り付け、24週目のLDLコレステロールの変化と安全性(主要評価項目)を検討した。


副次評価項目には、76週目のLDLコレステロールの変化と、24週目と76週目のHDLコレステロール、非HDLコレステロール、アポリポタンパクB、アポリポタンパクA-Iを設定した。


その結果、ベースラインから24週目のLDLコレステロールの変化が、プラセボ群では82mg/dL (2.1mmol/L)から77mg/dL(2.0mmol/L)へ低下したのに対し、アナセトラピブ群では、81mg/dL (2.1mmol/L)から 45mg/dL(1.2mmol/L)にまで低下し(P値<0.001)、プラセボ群との比較で有意に39.8%低いことが分かった。


また同時期のHDLコレステロールの変化では、プラセボ群が40mg/dL(1.0mmol/L)から46mg/dL (1.2mmol/L)だったのに対し、アナセトラピブ群は41mg/dL(1.0mmol/L)から101mg/dL (2.6mmol/L)に上昇し(p<0.001)、プラセボ群との比較で138.1%高いことが示された。


76週目までで、両群において血圧や電解質、アルドステロンでの変化はなく、アナセトラピブ群では2.0%、プラセボ群は2.6%に心血管イベントが発生したが、両群で有意差はなかった(P値=0.40)。


これらの結果から研究グループは、アナセトラピブはLDLとHDLコレステロールに対する有効性を示すと共に、認用可能な副作用プロファイルを有し、トルセトラピブに見られる心血管での有害事象は引き起こさないことが示されたと結論付けた。
 

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