新薬等15製品が承認へ 第一三共のMMRワクチン・ミムリットなど 薬事審・第二部会が了承
公開日時 2026/03/03 04:52
厚生労働省の薬事審・医薬品第二部会は3月2日、第一三共の麻しん・おたふくかぜ・風しん3種混合ワクチン(MMRワクチン)・ミムリット皮下注用など新薬7製品の承認の可否を審議し、承認することを了承した。ミムリットの接種対象者は生後12カ月以上の人で、承認されると国内で唯一使用可能なMMRワクチンとなる。このほかの審議品目には海和製薬のPIK3CA遺伝子変異を有する卵巣明細胞がん治療薬・ハイツエキシン錠(一般名:リソバリシブ)や、第一三共の抗HER2 ADC・エンハーツ点滴静注用のがん種横断的なHER2陽性固形がんの効能追加などがある。
◎ゾレア初のバイオ後続品も
報告品目は8製品で、いずれも承認することが了承された。この中にはセルトリオン・ヘルスケア・ジャパンの抗IgE抗体・ゾレアの初のバイオ後続品(BS)が含まれる。
【審議品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
▽ミムリット皮下注用(乾燥弱毒生麻しんおたふくかぜ風しん混合ワクチン、第一三共):「麻しん、おたふくかぜ及び風しんの予防」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品及び新医療用配合剤。再審査期間は8年。
日本で定期接種の対象となっている第一三共の2種混合ワクチン(乾燥弱毒生麻しん風しん2種混合ワクチン、MRワクチン)に、世界で汎用されているおたふくかぜワクチン株を混合した3種混合生ワクチン(MMRワクチン)。3種混合により接種回数が減少することで、被接種者の負担軽減が期待されている。
用法・用量は、「本剤を添付の溶剤(日本薬局方注射用水)0.7mLで溶解し、その0.5mLを1回皮下に注射する」。
日本では1989年にMMRワクチンが定期接種に導入されたが、同ワクチンに含まれるおたふくかぜワクチンによる無菌性髄膜炎の発生が社会問題となり、93年に事実上中止となった。厚労省の担当官は部会後の記者説明会で、▽ミムリットの国内第3相臨床試験(小児400例程度組み入れ)で無菌性髄膜炎の発現は認められなかった、▽ミムリットに含まれるおたふくかぜワクチン株(ムンプスウイルス株)は、WHOで事前認定されているおたふくかぜワクチン株のひとつである、▽ミムリットに含まれるムンプスウイルス株は、海外で豊富な使用実績があるものの中で、無菌性髄膜炎の発現率が相対的に低いとの報告があるものが選択された――ことなどから、「総じてリスクについては許容可能という判断により、(部会において)承認が了承された」と説明した。
ミムリットの添付文書において、接種対象者は「生後12カ月以上の人」と明記される。また、接種不適当者として、▽明らかな発熱を呈している者、▽重篤な急性疾患にかかっていることが明らかな者、▽本剤の成分によってアナフィラキシーを呈したことがあることが明らかな者、▽明らかに免疫機能に異常のある者、又は免疫抑制をきたす治療を受けている者、▽妊娠していることが明らかな者――なども記載される。
海外では2025年12月時点で、ミムリットはいずれの国又は地域でも承認されていない。MMRワクチンとしては、GSKのPriorix(国内未承認)が欧米を含む100以上の国又は地域で承認されている。
▽ゾコーバ錠125mg(エンシトレルビル フマル酸、塩野義製薬):「SARS-CoV-2による感染症の予防」を効能・効果とする新効能医薬品。再審査期間は残余期間(令和16年3月4日まで)。
北海道大学と塩野義製薬の共同研究から創製された3CLプロテアーゼ阻害薬。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療薬として承認されているが、今回、予防に関する効能を追加するもの。治療と予防で用法・用量は同じ。承認されると、曝露後予防での初めての経口抗ウイルス薬となる。
海外では2025年11月現在、治療及び予防ともに海外のいずれの国又は地域においても承認されていない。
▽イドビンソ配合錠(ドラビリン/イスラトラビル水和物、MSD):「HIV-1感染症」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品及び新医療用配合剤。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。
新規のヌクレオシド系逆転写酵素トランスロケーション阻害剤(NRTTI)・イスラトラビルと非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(NNRTI)・ドラビリン(国内販売名:ピフェルトロ錠)の2剤配合錠。
用法・用量は、「通常、成人には、1回1錠(ドラビリンとして100mg及びイスラトラビルとして0.25mgを含有)を1日1回経口投与する。本剤は食事の有無にかかわらず投与できる」。
海外では2025年12月時点で、海外で承認されている国又は地域はない。
▽デュピクセント皮下注300mgシリンジ、同皮下注300mgペン(デュピルマブ(遺伝子組換え)、サノフィ):「中等症から重症の水疱性類天疱瘡」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。
抗IL-4/13受容体抗体。これまでアトピー性皮膚炎、結節性痒疹、特発性の慢性蕁麻疹、気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎――の6つの適応で承認されている。
今回追加する水疱性類天疱瘡の用法・用量は、「通常、成人にはデュピルマブ(遺伝子組換え)として初回に600mgを皮下投与し、その後は1回300mgを2週間隔で皮下投与する」で、成人のアトピー性皮膚炎や結節性痒疹などと同じ。
水疱性類天疱瘡は、表皮基底膜部抗原に対する自己抗体により、全身の皮膚に多発する掻痒を伴う表皮下水疱を生じる希少な自己免疫疾患。中等度以上の水疱性類天疱瘡に対して、経口副腎皮質ステロイドを主体とした治療が行われているが、長期服用によるリスクがあり、新たな治療選択肢が必要とされている。
海外では2025年12月現在、水疱性類天疱瘡に係る効能・効果で米国で承認されている。
▽エンハーツ点滴静注用100mg(トラスツズマブ デルクステカン(遺伝子組換え)、第一三共):「HER2陽性の進行・再発の固形がん(標準的な治療が困難な場合に限る)」を効能・効果とする新効能医薬品。再審査期間は4年。
抗HER2 抗体薬物複合体(ADC)。現在の乳がんや胃がん、非小細胞肺がんに関する適応に加え、今回、がん種横断的に新たな治療の選択肢を提供するもの。
HER2陽性の進行・再発の固形がんに対する用法・用量は、胃がんの場合は「通常、成人にはトラスツズマブ デルクステカン(遺伝子組換え)として1回6.4mg/kg(体重)を90分かけて3週間間隔で点滴静注する」。胃がん以外の場合は、「通常、成人にはトラスツズマブ デルクステカン(遺伝子組換え)として1回5.4mg/kg(体重)を90分かけて3週間間隔で点滴静注する」となり、いずれの場合も、「初回投与の忍容性が良好であれば2回目以降の投与時間は30分間まで短縮できる」。
海外では2025年10月時点において、HER2陽性の進行・再発の固形がんに係る効能・効果で14の国又は地域で承認されている。
▽ニュベクオ錠300mg(ダロルタミド、バイエル薬品):「アンドロゲン受容体陽性の根治切除不能な進行・再発の唾液腺がん」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。
経口アンドロゲン受容体(AR)阻害薬。今回追加する唾液腺がんに対する用法・用量は、「ゴセレリン酢酸塩との併用において、通常、成人にはダロルタミドとして1回600mgを1日2回、食後に経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する」。
唾液腺がんの患者数は約3860~1万5633人と推測されている。AR陽性の唾液腺がんに係る効能・効果で承認されている薬剤はなく、ARの状態にかかわらず、カルボプラチンとパクリタキセル併用投与、パクリタキセル単独投与等による治療が行われているが、予後不良であり、既承認薬等が治療法として十分でなく、複数の選択肢が必要と考えられている。
海外では2025年10月時点において、AR陽性の唾液腺がんに係る効能・効果で承認されている国又は地域はない。
▽ハイツエキシン錠10mg(リソバリシブメシル酸塩水和物、海和製薬):「がん化学療法後に増悪したPIK3CA遺伝子変異を有する卵巣明細胞がん」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。
親会社の中国Shanghai Haihe Biopharma社が創製した新規PI3Kα阻害剤。用法・用量は、「通常、成人にはリソバリシブメシル酸塩として1回40mgを1日1回空腹時に経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する」。
対象疾患の卵巣明細胞がん(OCCC)は、上皮性卵巣がんの中でも希少かつ悪性度の高いサブタイプ。再発性OCCCには確立された有効な標準治療がなく、予後は、より一般的な漿液性卵巣がんと比べて著しく不良。ゲノム研究により、PIK3CA遺伝子変異が高頻度に認められることが明らかになっている。
海外では2025年11月時点において、承認されている国又は地域はない。
【報告品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
報告品目は、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の審査段階で承認して差し支えないとされ、部会では審議せず、報告のみでよいと判断されたもの。
▽①トシリズマブBS点滴静注80mg「MA」、②同BS点滴静注200mg「MA」、③同BS点滴静注400mg「MA」、④同BS皮下注162mgシリンジ「MA」、⑤同BS皮下注162mgオートインジェクター「MA」(トシリズマブ(遺伝子組換え)[トシリズマブ後続2]、持田製薬):「①②③:▽既存治療で効果不十分な下記疾患:関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)、多関節に活動性を有する若年性特発性関節炎、全身型若年性特発性関節炎、▽キャッスルマン病に伴う諸症状及び検査所見(C反応性タンパク高値、フィブリノーゲン高値、赤血球沈降速度亢進、ヘモグロビン低値、アルブミン低値、全身倦怠感)の改善。ただし、リンパ節の摘除が適応とならない患者に限る。▽悪性腫瘍治療に伴うサイトカイン放出症候群、▽SARS-CoV-2による肺炎(ただし、酸素投与を要する患者に限る)、④⑤:▽既存治療で効果不十分な下記疾患:関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)」を効能・効果とするバイオ後続品。再審査期間なし。
抗IL-6受容体抗体。承認されると、セルトリオン・ヘルスケア・ジャパンのトシリズマブBS「CT」に続く、アクテムラの2番目のバイオ後続品(BS)となる。
海外では2025年12月現在、承認されている国又は地域はない。
▽トロデルビ点滴静注用200mg(サシツズマブ ゴビテカン(遺伝子組換え)、ギリアド・サイエンシズ):「化学療法歴のあるホルモン受容体陽性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳がん」を効能・効果とする新効能医薬品。再審査期間は残余期間(令和14年9月23日まで)。
抗TROP-2抗体薬物複合体(ADC)。現在、化学療法歴のあるトリプルネガティブ乳がんの適応で承認されており、今回承認されると、2つ目の適応となる。ホルモン受容体(HR)陽性HER2陰性乳がんの用法・用量は、既承認のトリプルネガティブ乳がんと同じ。HR陽性HER2陰性乳がんは、乳がんの中で最も多いタイプで、全体の約75%を占める。
海外では2025年10月時点で、HR陽性HER2陰性の手術不能又は再発乳がんに係る効能・効果で53の国又は地域で承認されている。
▽①ターゼナカプセル0.25mg、②同カプセル0.1mg(タラゾパリブトシル酸塩、ファイザー):「遠隔転移を有する去勢抵抗性前立腺がん」を効能・効果とする①新効能・新用量医薬品、②新効能医薬品。再審査期間は残余期間(令和14年1月17日まで)。
PARP阻害薬。現在、前立腺がんに関して「BRCA遺伝子変異陽性の遠隔転移を有する去勢抵抗性前立腺がん」の適応を持っている。今回、BRCA遺伝子の変異にかかわらず、使用可能にするもの。
海外では2025年11月時点で、遠隔転移を有する去勢抵抗性前立腺がんに関する効能・効果にて58の国又は地域で承認され、うち相同組換え修復関連遺伝子変異の有無を問わない遠隔転移を有する去勢抵抗性前立腺がんに関する効能・効果にて46の国又は地域で承認されている。
▽オマリズマブBS皮下注75mgシリンジ「CT」、同BS皮下注150mgシリンジ「CT」、同 BS皮下注75mgペン「CT」、同BS皮下注150mgペン「CT」(オマリズマブ(遺伝子組換え)[オマリズマブ後続1]、セルトリオン・ヘルスケア・ジャパン):「▽気管支喘息(既存治療によっても喘息症状をコントロールできない難治の患者に限る)、▽季節性アレルギー性鼻炎(既存治療で効果不十分な重症又は最重症患者に限る)、▽特発性の慢性蕁麻疹(既存治療で効果不十分な患者に限る)」を効能・効果とするバイオ後続品。再審査期間なし
抗IgE抗体。承認されると、ゾレアの初のバイオ後続品(BS)となる。ゾレアにおいて季節性アレルギー性鼻炎の適応で最適使用推進ガイドラインが作成されており、同BSにも適用される。
海外では2025年11月現在、EU、米国を含む15の国又は地域で承認されている。
▽パキロビッドパック300、同パック600(ニルマトレルビル、リトナビル):「SARS-CoV-2による感染症(小児用量の追加)」を効能・効果とする新用量医薬品。再審査期間は残余期間(令和12年2月9日まで)。
ファイザーが創製した3CLプロテアーゼ阻害薬と、その血漿中濃度を維持する目的でリトナビルを併用。小児適応について、現在の「12歳以上かつ体重40kg以上」から、今回は「6歳以上かつ体重20kg以上」に範囲を拡大するもの。
6歳以上かつ体重20kg以上40kg未満の小児に対する用法・用量は、「ニルマトレルビルとして1回150mg及びリトナビルとして1回100mgを同時に1日2回、5日間経口投与する」。6歳以上かつ体重40kg以上の小児の用法・用量は、既承認の12歳以上かつ体重40kg以上の小児と同じ。
海外では2025年11月現在、欧米を含む80以上の国又は地域で承認、条件付き承認又は緊急使用許可が得られている。ただし、6歳以上12歳未満の小児に対する使用が認められている国又は地域は欧州のみ。
▽ルンスミオ皮下注5mg、同皮下注45mg(モスネツズマブ(遺伝子組換え)、中外製薬):「▽以下の再発又は難治性の大細胞型B細胞リンパ腫:びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、高悪性度B細胞リンパ腫、▽再発又は難治性の濾胞性リンパ腫」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。再審査期間は残余期間(令和14年12月26日まで)。
▽ポライビー点滴静注用30mg、同点滴静注用140mg(ポラツズマブベドチン(遺伝子組換え)、中外製薬):「▽以下の大細胞型B細胞リンパ腫:びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、高悪性度B細胞リンパ腫、▽再発又は難治性の濾胞性リンパ腫」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。再審査期間は残余期間(令和13年3月22日まで)。
ルンスミオは抗CD20/CD3二重特異性抗体で、現在、再発/難治性濾胞性リンパ腫(FL、グレード1-3A)の適応を持っている。ポライビーは、微小管阻害薬結合抗CD79b抗体(ADC)で、現在、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)の1次治療の適応を持っている。今回、再発/難治性DLBCLや高悪性度B細胞リンパ腫、FL(グレード3B)に対する併用投与を認めるもの。
ルンスミオの再発/難治性DLBCLや高悪性度B細胞リンパ腫、FL(グレード3B)に対する用法・用量は、「ポラツズマブ ベドチン(遺伝子組換え)との併用において、通常、成人にはモスネツズマブ(遺伝子組換え)として、21日間を1サイクルとし、1サイクル目は1日目に5mg、8日目及び15日目に45mg、2サイクル目以降は1日目に45mgを8サイクルまで皮下投与する」。
海外では、2025年10月時点で、再発又は難治性のアグレッシブB細胞性非ホジキンリンパ腫に係る効能・効果にてモスネツズマブ(遺伝子組換え)の皮下投与製剤とポラツズマブ ベドチン(遺伝子組換え)の併用投与が承認されている国又は地域はない。
▽フィブリノゲンHT静注用1g「JB」(乾燥人フィブリノゲン、日本血液製剤機構):「心臓血管外科手術における出血に伴う後天性低フィブリノゲン血症に対するフィブリノゲンの補充」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。再審査期間なし。
血漿分画製剤。事前評価済み公知申請品目だが、現時点では保険適用されていない。
海外ではいずれの国又は地域においても承認されていない。人フィブリノゲンを有効成分とする医薬品は、2026年1月時点で、欧米等6カ国で承認されている。
【訂正】下線部に誤りがあり、修正しました。本剤は事前評価済み公知申請品目ですが、現時点では保険適用されていません。(3月3日14時05分)