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【グローバル企業2025年決算トピックス その1】 リリー、ファイザー、アッヴィ、J&J

公開日時 2026/03/04 04:52
外資製薬企業の2025年医療用医薬品売上高の上位20社を集計したところ、前年比45%増収のイーライリリーが1位(前年9位)に大躍進した。2型糖尿病治療薬・マンジャロ、肥満症治療薬・ゼップバウンドがそれぞれ99%増の229.65億ドル、175%増の135.42億ドルと急伸しことが要因。上位20社の売上40億ドル以上の製品を集計したところ、両剤は2位(前年8位)、9位(31位)となった。

前年1位だったファイザーは、新型コロナ関連製品が不振だったため、2%減収で2位。3位は9%増収のアッヴィで、前年から1つ順位を上げた。4位ジョンソン&ジョンソン(J&J)、5位ロシュ、6位アストラゼネカ(AZ)と続く。前年2位のメルクは1%増収だったものの、7位に順位を落とした。

25年は、年初にJ&Jが146億ドルでIntra-Cellular社買収を発表したのを皮切りに、その後も100億ドル規模の買収(ファイザーが米Metsera社、米メルクが英Verona社及び米Cidara社、ノバルティスが米Avidity社、サノフィが米Blueprint社を買収)発表が相次ぎ、大型買収が活発化した1年だった。

また、生体内(インビボ)CAR-Tパイプラインを獲得するための買収(アッヴィが米Capstan社、AZがEsoBiotec社、BMSが米Orbital社、ギリアドが米Interius社、26年にリリーが米Orna社を買収)の動きが目立った。

25年はトランプ関税に翻弄された1年でもあった。トランプ大統領と最恵国待遇(MFN)価格で合意し、各社の26年業績への影響が注目されているが、ファイザーとBMS、ノボ ノルディスクが減収予想となっている。

全4回にわたって上位各社の25年決算概況を紹介する。第1回は、1位~4位のイーライリリー、ファイザー、アッヴィ、J&Jを取り上げる。

【1位 イーライリリー】

総売上高(医療用医薬品売上高)は前年比45%増の651.79億ドルとなり、全体で1位だった。純利益は95%増の206.40億ドルだった。売上トップ製品の2型糖尿病等に対するGIP/GLP-1受容体作動薬・マンジャロ(チルゼパチド)の売上が99%増の229.65億ドルと倍増。地域別に見ると、米国で53%増の136.51億ドル、米国外で3.6倍の93.15億ドルとなっている。

肥満症治療薬・ゼップバウンド(チルゼパチド)の売上は2.75倍の135.42億ドル。米国で2.74倍の134.84億ドル、米国外で5800万ドル。マンジャロとゼップバウンドを合わせた金額は365.07億ドルとなり、同社医療用医薬品売上全体の56%を占めている。この合計金額は25年ブロックバスターランキング1位のキイトルーダ(皮下注製剤を含め316.80億ドル)を約48億ドル上回る。

がん領域では、乳がん治療薬・ベージニオの売上は8%増の57.23億ドルと伸長。慢性リンパ性白血病(CLL)など血液がん領域のジャイパーカは50%増の5.06億ドルとなった。

また、早期アルツハイマー病治療薬・ケサンラの売上は約28倍の2.49億ドル、アトピー性皮膚炎治療薬・イブグリースは9.5倍の4.08億ドルとなるなど、新製品群も充実している。

26年の総売上高は800億ドル~830億ドルと23~27%の増収を見込んでいる。中外製薬から導入した経口投与のGLP-1受容体作動薬「orforglipron」を米国と日本で肥満症治療薬、欧州で2型糖尿病及び肥満症治療薬として承認申請している。ノボ ノルディスクが25年12月に米国で肥満症治療薬として承認取得済みの経口GLP-1受容体作動薬・Wegovy pill(セマグルチド)との競合の行方が注目される。

【2位 ファイザー】

総売上高(医療用医薬品売上高)は前年比2%減(為替の影響を除くと2%減)の625.79億ドルで、2位となった。純利益は3%減の77.71億ドルだった。

前年比で2%減収となったのは、新型コロナ関連製品の大幅減が要因。新型コロナワクチン・コミナティは18%減の43.67億ドル、経口新型コロナ治療薬・パキロビッドは59%減の23.62億ドルとなった。

同社売上トップ製品の直接経口抗凝固薬・エリキュースの売上(アライアンス売上含む)は8%増の79.61億ドル、2位の肺炎球菌ワクチン・プレベナーファミリーは1%増の64.94億ドル、3位のATTR-PN及びATTR-CM治療薬・ビンダケルファミリーは17%増の63.80億ドルといずれも増加した。

がん領域では、乳がん治療薬・イブランスは6%減の41.22億ドルと減少する一方、尿路上皮がん1次治療に適応拡大したパドセブは22%増の19.40億ドルと2桁伸長した。

25年中に100億ドル規模の大型M&Aを実施。米Metsera社買収により第3相試験準備中の月1回注射(維持期)の長時間作用型GLP-1受容体作動薬「MET-097i (PF’3944)」を獲得した。これにより週1回注射のリリーのゼップバウンドやノボのウゴービがけん引役となり市場規模が急拡大している肥満症領域への参入を目指している。

26年の総売上高は595億ドル~625億ドルと減収を予想。新型コロナ関連製品(コミナティ、パキロビッド)の売上は50億ドル(25年67.29億ドル)を見込む。また、特定製品の独占権満了(LOE)が15億ドルの減収要因となる見通し。

【3位 アッヴィ】

総売上高(医療用医薬品売上高)は9%増(為替の影響を除くと9%増)の611.60億ドルとなり、3位だった。純利益は1%減の42.26億ドルだった。

売上トップ製品の乾癬や炎症性腸疾患治療薬・スキリージの売上は50%増の175.62億ドルと大きく伸長し、同社売上全体の29%を占めている。スキリージは25年ブロックバスターランキングで5位につけている(前年6位)。また、JAK阻害剤・リンヴォックも39%増の83.04億ドルと大きく伸長。一方、米国などでバイオ後続品(BS)が参入しているヒュミラの売上は50%減の45.40億ドルだった。

統合失調症・双極性障害治療薬・Vraylar(カリプラジン)の売上は11%増の36.21億ドル。このほか、精神・神経疾患領域では、片頭痛発作の急性期治療薬・Ubrelvy(ウブロゲパント)が26%増の12.71億ドル、片頭痛発作の発症抑制薬・Qulipta/アクイプタは57%増の10.36億ドルとなった。進行期パーキンソン病治療薬・ヴィアレブは4.82億ドル寄与した。

血液がん領域では、イムブルビカが14%減の28.69億ドルと減少する一方、ベネクレクスタは8%増の27.92億ドルと伸長。エプキンリは86%増の2.71億ドルとなっている。

【4位 J&J】

総売上高は前年比6%増(為替の影響を除くと5%増)の941.93億ドルとなり、このうち医療用医薬品の売上高は6%増(同5%増)の604.01億ドルで4位だった。純利益は91%増の268.04億ドルだった。

同社売上トップ製品の多発性骨髄腫(MM)治療薬の抗CD38抗体・ダラザレックス/ダラキューロは23%増の143.51億ドルと引き続き高い伸びを記録した。24年7月の米国を皮切りに欧州、日本で未治療・移植適応MMに適応拡大し、さらに25年に入り、欧州、米国、日本で高リスクくすぶり型MMに適応拡大した。

MM領域では、次々に新モダリティを投入。CAR-T細胞療法・カービクティ(96%増の18.87億ドル)をはじめ、抗BCMA/CD3二重特異性抗体・テクベイリ(22%増の6.70億ドル)、抗GPRC5D/CD3二重特異性抗体・タービー(61%増の4.63億ドル)が増収に大きく寄与した。

24年8月以降、米国、欧州、日本において併用療法でEGFR変異陽性非小細胞肺がん1次治療に適応拡大した抗EGFR/MET二重特異性抗体・ライブリバント/経口EGFR阻害剤・ラズクルーズは2.24倍の7.34億ドルを売り上げた。

ダラザレックスに続く同社売上2位の潰瘍性大腸炎、クローン病に適応拡大したトレムフィアは41%増の51.55億ドル、同5位の前立腺がん治療薬・アーリーダは19%増の35.74億ドルと2桁成長を続けている。

治療抵抗性うつ病治療薬・Spravato(エスケタミン)は57%増の16.96億ドルとなった。同剤は経口抗うつ薬との併用療法に続き、25年1月に米国で単独療法が承認された。

25年4月に米Intra-Cellular社の買収を完了。買収額は146億ドルで、25年に行われたM&Aで最大となった。この買収により獲得した統合失調症・双極性障害うつ状態治療薬・Caplyta(ルマテペロン)は7.00億ドル寄与した。Caplytaは米国で25年11月に大うつ病性障害に適応拡大した。

欧州、日本市場に続き、25年に米国市場でも複数のバイオ後続品(BS)が参入したステラーラの売上は、41%減の60.78億ドルとなった。

26年の総売上高は1000億ドル~1010億ドル(6.2%~7.2%増)と増収を見込んでいる。


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