09年薬事生産金額は3.0%増 血圧降下剤は1.9%の低い伸びに
公開日時 2011/02/10 04:01
厚生労働省は、09年(1~12月)の薬事工業生産動態統計を公表した。生産金額は6兆8915億8900万円。薬価改定年の狭間の年は比較的高い伸びを示す傾向があるが、09年は医療費の伸び(概算医療費3.5%)に近い3.0%だった。その中で、全体の約1割を占める血圧降下剤は、例年9%近い伸びを示してきたのに対し、09年は1.9%の伸びにとどまった。
生産金額は、調査期間内の生産数量に事業所販売価格を乗じ、消費税を加えた額。総額には一般薬や配置薬も入る。医療用医薬品だけを見ると、6兆1742億0200万円で3.0%増だった。ここ10年の伸びをみると、5%を超えることもある改定年の狭間の伸び率としては低めとなった。
背景として考えられるのが、生産金額が全体の2割を占める循環器官用薬が1.3%減とマイナスになったこと(金額1兆4189億9300万円)。要因の一つとして循環器官用薬の半数近くを占める血圧降下剤が1.9%と低い伸びにとどまったことが挙げられる。
薬効大分類で、循環器官用薬に次ぐ生産金額の中枢神経系用薬は逆に12.8%と大幅増となった(金額7001億3600万円)。その中の精神神経用剤が21.9%増、抗パーキンソン剤が48.5%増、抗てんかん薬が9.3%増と高い伸びを示したことが、押し上げた要因とみられる。中枢神経に次ぐ「その他の代謝性医薬品」は4.4%増(金額6771億8100万円)。その中の2割強を占める糖尿病用剤は8.1%増だった。いずれも08年より伸び率は低いが、コンスタントに伸びている。
なお、減少傾向にある一般用薬は08年の0.9%増に続き、09年は3.0%増となった(金額6166億0100万円)。
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薬効中分類(生産金額上位15) |
09年(百万円) |
08年(百万円) |
伸び率(%) |
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1 |
血圧降下剤 |
660,628 |
648,004 |
1.9 |
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2 |
他に分類されない代謝性医薬品 |
407,587 |
389,786 |
4.6 |
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3 |
消化性潰瘍用剤 |
387,897 |
369,401 |
5.0 |
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4 |
その他の血液・体液用薬 |
293,866 |
265,987 |
10.5 |
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5 |
高脂血症用剤 |
282,044 |
265,786 |
6.1 |
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6 |
血管拡張剤 |
262,948 |
311,643 |
-15.6 |
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7 |
鎮痛,鎮痒,収斂,消炎剤 |
254,420 |
258,824 |
-1.7 |
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8 |
その他のアレルギー用薬 |
224,829 |
229,172 |
-1.9 |
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9 |
血液製剤類 |
191,444 |
188,935 |
1.3 |
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10 |
眼科用剤 |
180,062 |
175,287 |
2.7 |
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11 |
その他の中枢神経系用薬 |
179,200 |
147,540 |
21.5 |
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12 |
主としてグラム陽性・陰性菌に作用する抗生物質製剤 |
172,853 |
166,148 |
4.0 |
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13 |
糖尿病用剤 |
172,596 |
159,735 |
8.1 |
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14 |
解熱鎮痛消炎剤 |
154,627 |
157,735 |
-2.0 |
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15 |
その他の泌尿生殖器官及び肛門用薬 |
139,415 |
123,223 |
13.1 |
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