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テルミサルタンとラミプリル、または併用でも、心血管疾患高リスク患者の認識機能への影響は同じ

公開日時 2011/02/11 04:00

心血管疾患または糖尿病を有する患者において、テルミサルタンとラミプリル、または両剤の併用と、異なるアプローチでレニンアンジオテンシン系の阻害を試みた結果、認識機能に対する影響は差がないことが明らかになった。オーストラリア、University of Sydney and Royal Prince Alfred HospitalのCraig Anderson氏らが、10月27日の「Lancet」オンライン版で発表した。

これは、心血管疾患または糖尿病のある55歳以上の被験者、約2万6千人において、ACE阻害剤のラミプリル(5mg/日、2週間後から10mg/日)かARBのテルミサルタン(80mg/日)、または両剤の併用を検討したONTARGET試験と、同様の参加基準でACE阻害剤に不耐性な被験者約6千人を対象に、テルミサルタン(80mg/日)とプラセボの効果を比較検討したTRANSCEND試験のデータを分析したもの。これらの試験では、副次評価項目に認識機能障害(インベスティゲーターによる認知症の診断、著しい認識機能不全、またはMMSEスコアが≤23と定義)と認識機能低下(MMSEスコアの低下がベースラインから≥3)が設定されていた。


これらの試験の患者特性はだいたい似通っており、平均年齢が約66歳で、MMSEスコアの中間値は29、約5分の1が脳卒中かTIAの既往歴があった。ただTRANSCEND試験では、より女性被験者が多く(43% vs 27%)、また高血圧の割合が高かった(76% vs 69%)。


分析の結果、ONTARGET試験では56ヶ月の追跡で、ラミプリル群の8%とテルミサルタン群の7%、併用群の8%に認識機能障害が発生し(併用群 vs ラミプリル群, オッズ比 0.95, 95% CI 0.85-1.07, p=0.39; テルミサルタン群 vs ラミプリル群, オッズ比 0.90, 95% CI 0.80–1.01, p=0.06)、認識機能低下は、それぞれの群で17%に発生しており(併用群 vs ラミプリル群, オッズ比 0.95, 95% CI 0.88-1.04, p=0.28; テルミサルタン群 vs ラミプリル群, オッズ比 0.97, 95% CI 0.89–1.06, p=0.53)、治療群間でどちらの項目も有意差がないことがわかった。


TRANSCEND試験でも同様の傾向で、認識機能障害はテルミサルタン群とプラセボ群の両群でそれぞれ9%に発生し(オッズ比 0.97, 95% CI 0.81-1.17, p=0.76)、認識機能低下はテルミサルタン群で17%、プラセボ群で16%と、どちらも有意差はなかった(オッズ比 1.10, 95% CI 0.95-1.27, p=0.22)。年齢や高血圧既往歴、脳卒中またはTIA既往歴などによるサブ解析でも、使用薬剤による有意差は見られなかった。


追跡期間中の認識機能障害と関連した因子は、ベースラインのMMSEスコアが25以下であることや、女性であること、年齢、高血圧や脳卒中、TIAの既往歴、追跡期間中の収縮期血圧の高さなどで、また保護的因子は、高学歴、白人種、冠動脈疾患歴、抗血小板薬やスタチン、βブロッカーの使用、アルコール摂取などであった。
収縮期血圧が低い患者では、認識機能障害の割合が低い傾向がみられたが、メタ解析の結果では、数年間に渡る降圧治療によって、認識機能リスクは有意に低下していなかった。
 

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