MR超過勤務手当問題 米最高裁が会社側上告を棄却 MR側勝訴
公開日時 2011/03/07 04:01
米最高裁は2月28日、ノバルティスおよびシェリングプラウ(現メルク)の医薬情報担当者の超過勤務をめぐる訴訟で会社側の上告を棄却する判決を下した。MR側が勝訴した。米ダウジョーンズ、ブルームバーグ通信などが報じた。
2010年7月に米国控訴裁判所第2巡回裁判所は、「米公正労働基準法(FLSA)」に基づき、両社に対して、MRはFLSAで適用除外とされている超過勤務手当(超勤手当)の支払いを不要とする販売員でも管理職でもないため、超勤手当の支払い義務があるとの判断を示した。しかし、両社は、MRは従来からFLSAのもとで超勤手当の適用除外となっているとの理由で最高裁に上告していた。
今回の判決により、ノバルティスの場合、2500名の現職および前従業員に少なくとも総額1億ドルの支払い義務が生じると見込まれる。
2006年以降、同様訴訟は10数件相次いでおり、医薬品業界では、MRが勝訴し、超勤手当を支払わなければならない状況は業界に大きな負担を強いることになると懸念を示していた。 昨年、ジョンソン・エンド・ジョンソンの訴訟では、控訴裁判所第3巡回裁判所は、MRは自分で管理できる管理職との観点から超勤手当は必要ないとの判断を下すほか、今年初め、グラクソ・スミスクラインの訴訟では、前MRは超勤手当をもらう資格はないとの判決を下すなど、FLSAの適用を巡っては裁判所の判断も分かれている。