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【ESCOリポート】PERFORM 抗血小板薬・Terutroban アスピリンへの非劣性示せず

公開日時 2011/05/26 15:20

M.G.Bousser氏抗血小板薬・Terutrobanが、脳・心虚血性イベント発症抑制効果において、アスピリンへの非劣性を示すことができなかったことが報告された。同剤の国際臨床試験「PERFORM(Prevention of cerebrovascular and cardiovascular Events of ischemic origin with teRutroban in patients with a history oF ischemic stroke or tRansient ischaeMic attack)」試験の結果から分かった。5月24~27日の日程で、独・ハンブルグで開かれている第20回欧州脳卒中学会議(ESC)で、25日に開かれたセッション「Large clinical trials(RCTs)」で、PERFORM InvestigatorsのM.G.Bousser氏が報告した。(5月25日 独・ハンブルグ発 望月英梨)


抗血小板薬・Terutrobanは、選択的トロンボキサン-プラスタグランジン受容体拮抗薬。血管非収縮性で、抗血管増殖作用と抗動脈硬化作用のほか、アスピリンと同等以上の抗血小板作用が期待されていた。


試験は、虚血性脳卒中の既往、網膜動脈虚血性イベント、一過性脳虚血発作(TIA)患者を対象に、抗血小板薬・Terutrobanの脳・心虚血性イベント発症抑制効果が、アスピリンに非劣性を示すか検証することを目的に行われた。二重盲検下ランダム化比較試験として国際共同臨床第3相試験(P3)として、欧州28カ国(西欧17カ国、東欧11カ国)、アジア8カ国など46カ国802施設で実施された。


対象は、▽48時間から3カ月以内に脳・網膜疾患を発症▽8日間以内にTIAを発症――した55歳以上の患者1万9120例。抗凝固薬を必要とする心原性脳塞栓症患者と、アルツハイマー病などの認識機能障害、認知症は除外した。①Terutroban30mg/.日群9562例②アスピリン100mg/日9558例――の2群に分け、治療効果を比較した。解析対象は、Terutroban群9556例、アスピリン群9544例。主要評価項目は、致死性・非致死性虚血性脳卒中+致死性・非致死性心筋梗塞+その他血管死(失血死は除く)の複合エンドポイントとした。平均追跡期間は28.3カ月。


患者背景は、虚血性脳卒中患者がTerutroban群で90%(8574例)、アスピリン群で89%(8527例)と大半を占めた。そのほか、男性が多く(Terutroban群:63%、アスピリン群:62%)、アスピリン群で67.3±7.0歳。白人が8割以上を占めた。また、前治療としてアスピリンを投与している症例がTerutroban群で87%(9556例)、アスピリン群で86%(8202例)と大半を占めたほか、スタチン、ACE阻害薬なども半数以上が投与されていた。


なお、同試験は、データ安全性委員会が2009年10月12日、有効性が認められないとして事前に定めたマージンを満たしたことから(ハザード比>1、95%CI>0.93)、同剤が有害であるというエビデンスはみられないとした上で、有効性が認められるとも考えられないと勧告。同年10月23日に試験を中止している。


◎患者背景、副次評価項目でも2群間に差はみられず


解析の結果、主要評価項目の発生率は、Terutroban群で11%(1091例)に対し、アスピリン群11%(1062例)で、両群間に差はみられず、同剤のアスピリンへの非劣性を示すことができなかった(ハザード比:1.02、95%CI[0.94~1.12])。そのほか、虚血性脳卒中、致死性虚血性脳卒中、致死性追う卒中、心筋梗塞、総死亡など7項目の副次評価項目でも2群間に差はみられなかった。


また、患者背景に分けたサブ解析でも2群間に差はみられなかったが、虚血性脳卒中の既往がある患者(2759例)では、差がみられ、Terutroban群16%(214例)、アスピリン群19%(263例)で、Terutroban群で良好な結果となった(ハザード比:0.78、95%CI[0.65~0.94])。


安全性については、出血はTerutroban群で15%(1462例)、アスピリン群で14%(1360例)で、大きな差はみられないものの、微小出血の頻度も含め、Terutroban群で若干増加する傾向がみられた(ハザード比:1.09、95%CI[1.01~1.17])。


Bousser氏は、同剤に期待されていた効果が臨床上の効果として得られなかったと総括し、同剤を他の臨床症状で使うことができるのか、会場に疑問を投げかけた。


なお、同試験の結果は同日付の「THE LANCET」Online版に掲載された。
 

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