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Special Report/米国アバスチン乳がん適応撤回のインパクト(下)  (2/3)

公開日時 2012/03/06 04:01
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◆患者支援者の目

 

  

Musa Mayer氏製薬企業のバイオマーカー開発の契機に
 

 

作家、患者支援者、乳がん生存者、
FDA抗腫瘍薬評価委員会(ODAC)委員:2001年ほか
Musa Mayer氏

 

 

 

 

 

FDAによるベバシズマブの承認削除については多くの議論があり、かつ患者の一部にとっては、非常に辛いものだったと理解している。現在ベバシズマブを投与され、ベネフィットが得られている患者に対しては、今後も保険診療下で投与が可能であって欲しい。一方で、新薬には既存薬以上の有意なベネフィットがあるべきだと考えている。
 

迅速承認の利点は、より早く新薬が患者の手に届くという一点に尽きる。しかしそれは、本当の臨床ベネフィットを示せない可能性がある薬剤にも、実臨床での処方を可能とする道をつくることにもつながっている。
 

この制度の下、これまでに50製品以上が、FDAによる完全承認の前に投与可能となってきた。このうち、5剤が承認を取り消されており、ベバシズマブはそのうちの1剤だ。そして唯一、自主的な回収を拒否し、公開ヒアリングが行われた。それは当然、大きな注目を集めることになった。
 

FDAは非常に難しい立場にあったと思う。「患者を殺す決定だ」などと揶揄もされたが、治療関連有害事象の問題があったし、どのような患者がベネフィットを得られるのかを示す研究も報告されていなかった。規制局として、適応除外とするには十分な理由だったと考えている。
 

米国では、適応外使用が認められているため、月に約1万ドルと高額な費用がかかるが、ベバシズマブは今も、医師の自由裁量で処方が可能だ。いわば、「保険が門番」とも言える状況である。一般に、保険償還の有無は、ガイドライン(GL)に基づいて決定されている。
 

今後の行方は不透明だが、現時点では、たとえばNCCNガイドラインから削除されておらず、Medicareでもカバーされている。患者利益という点では、必要な患者には投与が可能な状況だ。
 

薬剤開発に関して、私の見方はよりシニカルになっているかもしれないが、企業の本質はものを売ることであり、利益を上げるという株主に対する責任がある。それを責めることはできない。
 

一方で今回の決定は、規制局としてのFDAが、許認可のスタンダードを維持する上で必要だったと感じる。また製薬企業や医師に、有効性を示す患者の特定につながるバイオマーカー検索を行うきっかけを与える上でも、重要だったと感じている。

 

 

 

 

 

 

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