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高リスクTIA患者へのスタチン投与 脳卒中の再発リスク低下と関連

公開日時 2012/07/30 12:00

頸動脈プラークが認められる一過性脳虚血発作(TIA)において、発作時にスタチンを使用した患者は、使用しなかった患者と比べ、その後の脳卒中リスクが有意に低いことが、観察研究の結果明らかになった。アイルランドMater Misericordiae University HospitalのA. Merwick氏が、5月22~25日までポルトガル・リスボンで開催された第21回欧州脳卒中学会議で24日、Oral Session「Acute cerebrovascular events(ACE):TIA and minor stroke」で報告した。


TIA発作後は脳卒中への進展リスクが高く、7日以内の脳卒中発症リスクは10%とされている。TIAは、大動脈でのアテローム性硬化症が起因とされるのが20~25%で、頸動脈狭窄がみられる症例では早期の脳卒中発症リスクは、頸動脈狭窄がみられない症例の3倍に及ぶ。


FDG-PETで同定される、頸動脈プラークにおける炎症が脳卒中発症リスクと関連していることが報告されている。
研究グループはこの結果を受け、FDGの取り込みを抑制するスタチンをTIA発症早期に投与することで、頸動脈プラークの安定化、脳卒中リスクの低減と関連しているとの仮説を立てた。この仮説を検証するため、TIA時にスタチンを与えられた被験者と与えられなかった被験者とを、観察研究で比較検討した。


TIAを発症した2773例のうち、画像所見で50%以上の頸動脈狭窄がみられた症例は、390例だった。頸動脈狭窄症例では、7日以内の脳卒中リスクが9.0%、90日以内のリスクは18.7%だった。非頸動脈狭窄症例での発生率の2.7%、5.7%で、有意に上回っていた(どちらもp<0.0001)。


研究グループは、頸動脈狭窄症群のうち、投薬データが入手可能だった263例を対象に、リスク因子プロファイルやベースラインでの投与薬剤、臨床的特徴(ABCD2スコア、1回以上のTIA発作)、7日以内と90日以内の脳卒中の発生などについて、TIA発作時にスタチンを投与された被験者(以下、スタチン群)114例、投与されなかった被験者(非スタチン群)149例に分け、比較検討した。


その結果、スタチン群では、非スタチン群に比べ、脂質異常症(80.4% vs 38.3%、p<0.0001)、脳卒中既往(23.4% vs 8.9%、p=0.001)、冠動脈疾患(39.5% vs 12.8%、p<0.0001)が有意に高かった。


7日以内の脳卒中発生率は、非スタチン群の13.79%に対し、スタチン群では3.81%(オッズ比(OR):0.24、(95% CI: 0.08 – 0.75)、p=0.009)と有意に低く、また90日以内の発生率でも、非スタチン群が21.38%に対してスタチン群では8.91%(OR:0.35、( 0.16 – 0.80)、p=0.009)と有意に抑制されていた。多変量解析の結果、90日以内の脳卒中発生と関連していた独立因子は、ABCD2スコア(OR:2.4、( 1.4 – 4.13)、p=0.001)と喫煙(OR:3.13、(1.4 – 6.9)、p=0.005)で、予防因子はスタチン(OR:0.4、( 0.16 – 0.95)、p=0.04)であった。


Merwick氏は、同研究が観察研究であり、追跡データは不完全だったとした。その上で、「スタチンの早期治療により、頚動脈狭窄によるTIA後の急性期脳卒中リスクを低減できる可能性がある」と述べた。さらに、この結果は、「脳卒中またはTIA後のスタチンの高用量投与を検討した無作為化臨床試験「SPARCL」の結果を支持するものである」と説明。その上で、プラークの安定化や神経保護に対するスタチンの効果を見極めるには、TIA症例を対象に急性期スタチン療法を検討する無作為化試験の実施が必要との考えを示した。

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