中医協総会 近視進行抑制治療薬を選定療養に追加へ 支払側 自由診療医薬品の選定療養「望ましくない」
公開日時 2026/01/13 04:51
中医協総会は1月9日、近視の進行抑制を効能又は効果とし、薬事承認を受けている医薬品を新たに選定療養の対象とすることを了承した。近視進行抑制治療薬としてはアトロピン硫酸塩水和物(リジュセアミニ 0.025%点眼液、参天製薬)が薬事承認を受けているものの、薬価収載されていない。同薬を選定療養の対象とすることで、コンタクトレンズの処方と同様、現在自由診療とされる検査を保険診療で行うことになる。支払側の松本真人委員(健康保険組合連合会理事)は、「薬事承認された後に自由診療で処方されてきた医薬品について、広く選定療養の対象になっていくことは、望ましくない」と指摘。「今回の件は、極めて例外的な対応だ」と強調した。
厚労省は選定療養に導入すべき事例等に関する提案・意見募集において、近視進行抑制薬に係る提案があったと説明した。「近視の進行抑制」を効能・効果とする医薬品については2024年12月27日にアトロピン硫酸塩水和物が薬事承認を受けたが、薬価収載されていない。厚労省は「コンタクトレンズの装用を目的として受診した患者が、アトロピン硫酸塩水和物の処 方も希望した場合、コンタクトレンズの処方のために行う検査は保険診療だが、アトロピン硫酸塩水和物の処方は保険外診療」として、近視進行抑制薬を選定療養とすることを提案した。
治療に際しては2~3年の長期間かかり、関係学会の指針上、近視進行抑制薬による治療開始時及び治療中は、屈折検査等の検査を行うことが推奨されている。初回処方以降も3~6か月ごとの定期観察や検査を行うことを推奨。調節麻痺を行う場合は,1年に1度の頻度を目安とすることなどとされている。このため、厚労省は近視進行抑制薬の処方に係る検査に対して適切な評価を行うことを提案した。なお、関連する主な検査料としては、「D263 矯正視力検査」(1:眼鏡処方箋の交付を行う場合69点、2:1以外の場合 69点)、「D261 屈折検査」(1:6歳未満の場合69点、2:1以外の場合 69点。
◎支払側・松本委員 コンタクトレンズの検査「取り扱いは改めて議論が必要」
診療側の江澤和彦委員(日本医師会常任理事)は、検査について「関連学会のガイドラインを踏まえた上での適切な点数設計となるよう、検討を進めていただきたい」と要望した。
支払側の松本真人委員(健康保険組合連合会理事)は、「検査については、学会のガイドラインを踏まえ、一定の間隔を空けて実施すべきだ」と指摘した。そのうえで、「アトロピンを選定療養とすることは、コンタクトレンズ等の公平性の観点から、やむを得ないと受け止めるが、薬事承認された後に自由診療で処方されてきた医薬品について、広く選定療養の対象になっていくことは、望ましくない。今回の件は、極めて例外的な対応だということは、強く指摘させていただく」と協商した。
また、検査について、厚労省が“コンタクトレンズの処方のために行う検査は、保険診療である”と表現したことに触れ、「コンタクトレンズを購入するためには、必ず眼科を受診しなければならないと思っている国民も多いのではないか。そもそも、医師の処方がなくても、購入できるコンタクトレンズを使うために、検診のように実施される検査については、保険診療として、どのように取り扱うべきなのか、改めて議論が必要だ」と指摘した。
◎26年度改定整理案 安定供給体制の新たな評価に支払側・松本委員「適正化とセットで」
この日の中医協総会に厚労省は、「26年度診療報酬改定に係るこれまでの議論の整理案」も提示した。後発医薬品・バイオ後続品の使用促進については、「後発医薬品の使用促進等の観点から、処方等に係る評価体系を見直す」と明記されている。支払側の松本委員は、「後発品の使用促進の観点だけではなく、医薬分業の目標を達成したことを踏まえ、処方箋料を引き下げることも検討すべきだということは改めて主張させていただく」と述べた。
また、供給不安が続くなかで、「医療機関及び薬局において追加的な業務が生じている状況を踏まえ、医薬品の安定供給に資する体制について、新たな評価を行う」とされたことにも触れ、「医薬品の安定供給体制の新たな評価については、後発品に関する既存の評価の適正化とセットで議論することが不可欠だと受け止めている」と述べた。
◎診療側・森委員 特別調剤基本料Aの除外規定「速やかな見直しと適用を」
このほか、議題にはないものの、診療側の森昌平委員(日本薬剤師会副会長)は総会の最後に発言を求め、敷地内薬局について言及した。森委員は、「特別な関係のある病院の敷地内にある保険薬局の同一建物に別途診療所を誘致することで、特別調剤基本料Aの適用を除外される規定を見直すことを、昨年開催された中医協で議論した。大変残念なことだが、中医協で議論した後も、この規制を利用して特別調剤基本料Aの算定を逃れる敷地内薬局が続出しているとの報道がある」と指摘。「この規定については、速やかな見直しと適用が必要だというふうに考えますので、お願いしたい」と強く要望した。