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【ESC特別版】FAME2 安定冠動脈疾患患者にFFR指標のPCI施行+最適な薬物療法の意義示される

公開日時 2012/08/30 12:32

安定冠動脈疾患のイベント発症抑制をめぐり、冠血流予備量比(Fractional Flow Reserve:FFR)を指標に機能的狭窄を評価した上でのPCI施行+最適な薬物療法が、緊急の血行再建術の頻度を大きく減少させるなど、治療効果の改善につながることが分かった。FAME2(Fractional Flow Reserve versus Angiography for Multi-vessel Evaluation2)の結果から分かった。8月25~29日の日程で、ドイツ・ミュンヘンで開催された欧州心臓病学会(ESC)2012でベルギー・Cardiovascular Center Onze のBernard De Bryuyne氏が28日に開かれたHOT LINEセッションで報告した。(望月英梨)Bernard De Bryuyne氏


安定冠動脈疾患の患者を対象とした臨床試験で、冠動脈インターベンション(PCI)の施行により、予後改善がみられたとの報告はなされていない。これらの試験では、PCI施行に際し、アンギオグラフィを用いて診断された狭窄をターゲットとしてきた。これに対し、「FAME1」の結果から、アンギオグラフィの代わりに、冠血流予備量比(Fractional Flow Reserve:FFR)を用いたPCIの施行がより良好な治療成績につながることが分かってきた。


FFRは、正常動脈の最大血流量に対する狭窄動脈の最大血流量の比を示したもの。PCIの際、圧力・流速測定ガイドワイヤーによって、狭窄部前後の冠動脈内圧から計算される。FFRを用いることで、虚血を正確に把握し、適切な患者選択につながることが期待されている。


試験は、安定冠動脈疾患患者において、FFRを用いたPCI施行と、実現可能な最適な薬物療法を組みあわせた治療が、薬物療法単独に比べ、優越性を示すか検討することを目的に実施された。
対象は、1~3カ所の頸動脈狭窄へのDES(薬物溶出性ステント)留置を検討している安定冠動脈疾患患者1220例。冠動脈バイパス術(CABG)施行の既往歴がある患者や左室駆出率(LVEF)<30%、左主幹部疾患患者は除外した。


FFR≦0.80で1つ以上の結果が機能的に有意な狭窄がある患者は、FFRを指標としたPCI施行+薬物療法と、薬物療法の2群にランダムに割り付け、治療効果を比較した。一方、全ての狭窄がFER>0.80で虚血がほとんどないと診断された場合は、薬物療法の治療効果を検討するレジストリーとして登録された。主要評価項目は、死亡+心筋梗塞+緊急の血行再建術の施行とした。


なお、2012年1月15日、独立データ安全性モニタリング評価委員会が、主要評価項目の発生率に有意差がみられたことから、患者登録の中止を勧告した。


解析対象は、2010年5月15日~12年1月15日までの間に、欧米28施設から登録された1220例。このうち、FFR≦0.80は888例で、①PCI+薬物療法群447例②薬物療法群441例――に割りつけられていた。一方、FER>0.80でレジストリーに登録されたのは166例だった。追跡期間(中央値)は、PCI+薬物療法群で213±128日、薬物療法群で214±127日、レジストリーは206±119日だった。


患者背景は、年齢がPCI+薬物療法群で63.52歳、薬物療法群63.86歳、レジストリーは63.58歳だった。アンギオグラフィで、明らかな狭窄が認められたのは、PCI+薬物療法群で患者1人当たり平均1.87±1.05、薬物療法群で1.73±0.94、レジストリー群で1.32±0.59(p<0.001)。FFRで機能的狭窄が認められたのは、PCI+薬物療法群で1.52±0.78、薬物療法群で1.42±0.73、レジストリー群で0.03±0.17だった(p<0.001)。


◎全死亡、心筋梗塞は有意差なく 緊急の血行再建術の施行で有意差


その結果、主要評価項目の発生率は、PCI+薬物療法群で4.3%(19例)、薬物療法群で12.7%(56例)で、有意にPCI+薬物療法群で低い結果となった(ハザード比(HR):0.32、(95%CI:0.19-0.53)、p<0.001)。レジストリー群は3.0%(5例)で、PCI+薬物療法群と大きな差はみられなかったが(HR:1.29(0.49-3.39)、p=0.61)、薬物療法群に比べ、有意に低い発症率となった(HR:4.32(1.75-10.7)、p<0.001)。


PCI+薬物療法群と薬物療法群との間に、全死亡(HR:0.33(0.03-3.17)、p=0.31)、心筋梗塞(HR:1.05(0.51-2.19)、p=0.89)には有意差はみられなかったが、緊急の血行再建術には大きな差がみられた(HR:0.13(0.06-0.30)、p<0.001)。緊急の血行再建術を受けた56例の内訳は、心筋梗塞が21.4%(12例)、不安定狭心症+心電図(ECG)による虚血の根拠が26.8%(15例)、臨床的特徴に基づいた不安定狭心症が51.8%(29例)。


Landmark analysisで、治療開始からの日数と死亡+心筋梗塞の発生率との関連性を検討すると、治療開始から7日以内は薬物療法群で有意に低率だったが(HR:7.99(0.99-64.6)、p=0.038)、それ以降ではPCI+薬物療法群で低率となり(HR:0.42(0.17-1.04)、p=0.053)、治療開始からの時間の有意な影響がみられた(p=0.053)。


これらの結果から、Bryuyne氏は、安定冠動脈疾患患者を対象にFFRを指標としたPCI施行は薬物療法単独に比べ、治療成績を向上させると指摘。この背景に、緊急血行再建術の施行回数の減少があるとした。また、「アンギオグラフィで狭窄がみられたにもかかわらず、有意な機能的狭窄がみられない患者は、最適な薬物療法で素晴らしい結果だった」と述べ、FFRを指標に、PCI施行患者を選択することの意義を強調した。Frans Van de Werf氏


Discussantとして登壇したベルギー・University of LeuvenのFrans Van de Werf氏は、同試験が、PCI+薬物療法の有効性を示せなかったCOURAGEやBARI 2Dと似通った臨床試験であると指摘。2つの臨床試験に「もし、主要評価項目に血行再建術が含まれていたら、2群間に有意差が出たかもしれない」と述べた。死亡と心筋梗塞には有意差がないことを改めて指摘し、現在進行中の臨床試験「ISCHEMIA」の結果が待たれると述べた。


 


 

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