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【UEGW事後特集】geminiⅡ 中等症~重症のクローン病への導入療法で寛解達成率は高率も反応性は有意差みられず

公開日時 2012/10/29 03:00

中等症~重症のクローン病の導入療法として分子標的薬・vedolizumabの投与は、プラセボに比べ、臨床的寛解達成率は有意に高かった一方で、活動性低下における反応性は両群間に差がみられないことが分かった。同剤の臨床第3相ランダム化二重盲検下プラセボ対照試験「geminiⅡ」の結果から分かった。10月20~24日の日程で開催された、第20回欧州消化器病週間(United European Gastroenterology Week:UEG Week2012)で23日に開かれた「Free Paper Session:Top late breaking abstracts in IBD」で、Jean-Frédéric Colombel氏が報告した。(オランダ・アムステルダム 望月英梨)


Vedolizumabは、α4β7インテグリンを選択的に遮断する分子標的薬。α4β7インテグリンと、そのリガンドであるMadCAM-1(炎症腸管の血管内皮に発現)との結合は、消化管の細胞性免疫反応に介在することが知られている。


試験は、vedolizumabの寛解導入療法と寛解維持療法における有効性と安全性を検討することを目的に実施された。


対象は、▽クローン病の活動性を示すCrohn's Disease Activity Index(CDAIスコア)が220~450(中等症~重症)▽副腎皮質ステロイド、プリン代謝拮抗薬、±TNF阻害薬の投与にもかかわらず、活動性――の18~80歳の患者。さらに、▽CRP>2.87mg/L▽ランダム化前4カ月以内に、大腸内視鏡検査により活動性を確認▽糞便検査で検出されたカルプロテクチン>250μg/g――の1項目以上を満たすこととした。


登録後2~21日後に、①盲検下ランダム化したコホート 368例(vedolizumab群:220例、プラセボ群:148例)②オープンラベル導入試験 748例(vedolizumab群:747例)――に分けた。0~6週目まで、導入療法としてvedolizumab300mgを投与された947例については、投与開始6週後に反応性の基準を満たしたか検討した。主要評価項目は、▽臨床的寛解(CDAI≦150:緩解)▽反応性(投与開始6週後にベースライン時から、CDAIが100ポイント低下)――の2項目とした。


解析対象は、プラセボ群148例、vedolizumab群220例の368例で、治療完遂率は、プラセボ群で93%(137例)、vedolizumab群で90%(199例)だった。


患者背景は、男性がプラセボ群47%、vedolizumab群48%、年齢がプラセボ群で39歳、vedolizumab群で36歳だった。罹患歴は、プラセボ群で8.2年、vedolizumab群で9.2年だった。副腎皮質ステロイドは48%、免疫調整薬(イムラン、タクロリムス 等)は34%両群ともに投与されていた。TNF阻害薬の治療歴は、プラセボ群で49%、vedolizumab群で50%だった。抗TNF療法でのfailureはプラセボ群で47%、vedolizumab群で48%だった。


◎導入療法では抗TNF療法での前治療があった群で有意差みられず


ITT解析で検討した結果、6週間後の臨床的寛解達成率は、プラセボ群の6.8%に対し、vedolizumab群では14.5%、で、vedolizumab群で有意に良好な結果となった(p=0.02、95%CI:1.2-14.3)。一方で、反応率は、プラセボ群の25.7%に対し、vedolizumab群では31.4%で、有意差はみられなかった(p=0.23、95%CI:-3.6-15.0)。


抗TNF療法の前治療の有無に分けてみたところ、前治療があった群(183例)では、臨床的寛解達成率は、プラセボ群の4.2%に対し、vedolizumab群では11.7%だった。一方、反応率は、プラセボ群の20.8%、vedolizumab群では20.7%で、2群間に差はみられなかった。これに対し、前治療がなかった群(185例)では、臨床的寛解達成率がプラセボ群で9.2%、vedolizumab群で17.4%だった。反応率は、プラセボ群の30.3%に対し、vedolizumab 群では42.2%だった。

前治療での抗TNF療法での失敗の有無に分けてみると、失敗した既往がある群(175例)では、臨床的寛解率がプラセボ群で4.3%、vedolizumab群では10.5%、反応率はプラセボ群で22.9%、vedolizumab群では23.8%で、2群間に差はみられなかった。一方、失敗の既往がない群(193例)では、臨床的寛解率がプラセボ群で9.0%、vedolizumab群で18.3%、反応率はプラセボ群で28.2%、vedolizumab群で38.3%だった。

6週後の平均CRP値の変化はプラセボ群で-3.6mg/L(23.6mg/L→19.9mg/L)、vedolizumab群で-2.9mg/L(24.1mg/L→21.1mg/L)で有意差はみられなかった(p=0.93)。



有害事象は、プラセボ群で59%(88例)、vedolizumab群で56%(124例)、重篤な有害事象はプラセボ群で6%(9例)、vedolizumab群で9%(20例)だった。このうち、クローン病の増悪は、プラセボ群で5例(3%)、vedolizumab群で11例(5%)とvedolizumab群で多い傾向がみられた。小腸閉塞がプラセボ群で1例(1%未満)、vedolizumab群で2例(1%未満)だった。


重篤な感染症は、プラセボ群で肛門膿瘍、デバイスに関連した敗血症の2例(1%)、vedolizumab群でブドウ菌血症の1例(1%未満)だった。


Colombel氏は、約半数の患者が抗TNF療法による前治療で失敗した治療が難しい集団であることを指摘した上で、同剤の有効性を強調した。



◎維持療法では臨床的寛解達成率、反応率とも有意に良好に


同剤の寛解維持療法としての有効性・安全性を検討する目的で、投与6週~52週まで投与を継続した。投与開始6週時点で反応性の基準を満たさなかった506例はvedolizumab4週毎投与を継続。基準を満たした症例はプラセボ群153例、vedolizumab4週毎投与154例、vedolizumab8週毎投与154例――の3群にランダムに割り付け、2用量の有用性を検討した。主要評価項目は、52週時点での臨床的寛解(CDAI≦150)。


このうち、投与開始6週時点で反応性を満たした症例についての解析が今回発表された。治療を完遂したのはプラセボ群で64例(42%)、vedolizumab8週毎群で73例(47%)、4週毎群で82例(52%)だった。


その結果、52週後の主要評価項目の達成率は、プラセボ群の21.6%に対し、vedolizumab8週毎群で39.0%、4週毎群では36.4%で、いずれも有意に高い結果となった(いずれも、p<0.01)。副次評価項目の反応率(CDAI100ポイント低下)は、プラセボ群の30.1%に対し、vedolizumab8週毎群で43.5%、4週毎群では45.5%で有意に上昇した(p<0.05、<0.01)。クローン病無症状の寛解は、プラセボ群の15.9%に対し、vedolizumab8週毎群で31.7%、4週毎群で28.8%だった(いずれも、p<0.05)。長期寛解は、プラセボ群の14.4%に対し、vedolizumab8週毎群で21.4%、4週毎群で16.2%だった。抗TNF療法の前治療の有無、抗TNF療法の失敗の有無によらず、vedolizumab群でプラセボ群に比べ、良好な結果を示した。


重篤な有害事象は、プラセボ群で15%(46例)、vedolizumab群では24%(199例)で、クローン病の増悪は、プラセボ群で7%(21例)、vedolizumab群で12%(99例)みられている。
 

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