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【ISC2013速報】虚血性脳卒中急性期 治療開始の目標時間達成率が2倍に Target Strokeプログラム実践で

公開日時 2013/02/08 06:00

虚血性脳卒中急性期治療において、血栓溶解療法の有効性が高いとされる、病院到着から血栓溶解療法開始までの時間(Door-to-Needle Time)、病院到着からCT画像検査までの時間(Door-to-CT)の目標時間以内の達成率が、米国心臓協会(AHA)とその下部組織である米国脳卒中学会(ASA)が主導するTarget: Strokeプログラムの実践で2倍以上になったことが報告された。米Massachusetts General Hospitalの単一施設での臨床成績を後ろ向きに解析した結果から分かった。2月6~8日まで米・ホノルルで開催されている国際脳卒中学会(ISC2013)で6日に開かれたセッション「Emergency Care/Systems Oral Abstracts」で、Massachusetts General HospitalのIlana Ruff氏が報告した。


虚血性脳卒中急性期におけるt-PA(アルテプラーゼ)の有効性は、発作から治療開始までの時間が短いほど高いとされている。Door-to-Needle Timeは60分以内、Door-to-CTは25分以内が目標時間として設定されている。一方で、これを実現した患者は約1/3にとどまっていると指摘されている。同院でも、2003~06年まで、Door-to-Needle Timeは平均約70分で、60分以内だった患者は、30%前後で推移していた。


これを受け、同院ではDoor-to-Needle Timeの短縮を目指し、薬剤師や検査技師(画像、検査室)を巻き込んだ、院内の急性期ケアモデルを構築した。なお、このモデルがAHA/ASAが全米で進める、“Target: Stroke”プログラムの骨子となっている。Target: Strokeは、①緊急医療サービス(EMS)が脳卒中の可能性を救命救急科に事前通告②脳卒中患者を優先する迅速なトリアージプロトコル③1回の通告で脳卒中ケアチームの各自が受け入れ準備を開始④CT画像や血液の迅速な検査と診断⑤t-PAを迅速に事前準備し、薬剤師はベッドサイドで終始待機⑥患者のデータを迅速に各ケアチームにフィードバックし、ケアの質を定期的にレビューする――などを盛り込んだ10項目から構成される。


Target: StrokeではDoor-to-Needle Time60分以内の達成率を50%に設定し、同プログラムを推進している。


今回の報告は、Target: Stroke実践前(2003~06年、1413例)と実践後(2007~11年、925例)でDoor-to-Needle TimeとDoor-to-CTを比較した。


平均年齢は、実践前が69.2歳、実践後は71.2歳、実践後で有意に高齢化しており(p=0.002)、高血圧(実践前:65.2%、実践後:72.2%、p<0.000)、糖尿病(22.6%、26.6%、p=0.026)、高脂血症(35.2%、46.3%、p<0.000)などを合併する患者の割合が実践後は有意に高くなっていた。


実践により、Door-to-Needle Timeは70分から47分に短縮した(p<0.000)。目標値の60分以内を達成は32.1%から70.3%に有意に増加した(p<0.000)。Door-to-CTは70分から47分に短縮し、目標値の25分以内達成率は、37.5%から75.4%に増加した(p<0.000)。


特に、Door-to-Needle Timeは2007年を境に大きく減少し、2006年の72.5分から07年は51.5分に短縮した。その後も、08年が55分、09年が48分、10年が40分、11年が51分と同等のレベルを維持した。一方、Door-to –CTは、06年の33.0分から07年は26.0分まで減少し、08年18.0分、09年19.5分、10年19.5分、11年18.0分だった。


Door-to-Needle Timeが目標値を達成できた群とできなかった群の患者背景を検証した結果、治療をいつ受けたか、だけが因子として浮かび上がってきた。年齢や性別、人種、合併症、重症度を示すNIHSSなどには有意差はみられなかった。


Ruff氏は、単一施設の後ろ向き研究であることや、時間短縮に貢献した因子が特定できないなど、解析に限界があるとした。その上で、「Door-to-Needle Time60分以内、Door-to-CT25分以内が達成可能な目標である」との考えを示した。さらに、「Target: Strokeは他部門を含む脳卒中チームの献身的な努力を必要とするものの、実現可能なプログラムである」とし、その結果同施設では、目標時間以内の割合が2倍以上にまで増加したとの見解を示した。

 


 【ISC2013取材班】望月英梨、医学ライター 森永知美

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