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【ACCリポート】REMINDER 急性心筋梗塞後にエプレレノン早期投与開始で心血管イベントの発生抑制

公開日時 2013/03/19 05:00

心疾患の徴候や既往のない低リスクの急性心筋梗塞患者に対する、発症24時間以 内の急性期治療で、標準療法に選択的アルドステロン阻害薬・エプレレノンを追加投与することで、標準療法に比べ、有意に心血管イベントの発生が抑制される ことが分かった。急性心筋梗塞に対する同剤の有効性・安全性を比較した初めての二重盲検下ランダム化比較試験「REMINDER(Reduction of heart failure morbidity in patients with acute ST-elevation myocardial infarction)」の結果から明らかになった。3月9~11日の日程で開催中の第62回米国心臓学会議(ACC.13)で10日に開かれたセッショ ンLate Breaking Clinical Trialsで、Pitié-Salpétrière HospitalのGilles Montalescot氏が報告した。


ST上昇型心筋梗塞(STEMI)患者では入院時にアルドステロンが上昇していることが知られている。血中のアルドステロンの増加と、全死亡、心血管死、心不全発症および悪化、さらには心室性不整脈などが相関することも報告されている。


試験は、心不全を伴わないST上昇型急性心筋梗塞患者に対し、エプレレノンを早期から投与することで、臨床成績を改善するという仮説を検証する目的で実施された。


対象は、▽救急治療室または救急車での評価で、心不全を伴わないST上昇型急性心筋梗塞と診断▽ランダム化から診断、最初の薬剤投与までST上昇型急性心 筋梗塞の症状が発症してから24時間以内、可能であれば12時間以内に可能な限り早く行うこと――を満たす、心疾患の既往や徴候のなかった低リスクST上 昇型急性心筋梗塞患者1012例。左室駆出率(LVEF)40%未満の既往がある患者や除細動器が埋め込まれた患者、腎機能低下例 (eGFR≤30ml/min/1.73㎡)
コントロール不能な高血圧などは除外した。


発症24時間以内に、標準療法に加え、エプレレノン追加投与群506例(25~50mg 1日1回、初日は25mg)、プラセボ追加投与群506例の2群に無作為に割付け、有効性と安全性を比較した。平均追跡期間は10.5カ月間。主要評価項 目は、最初の心血管死までの期間+心不全による再入院あるいは入院延長+心室性頻脈あるいは心室細動+1カ月後のLVEF40%以下+1カ月後のBNPあ るいはNT-proBNP上昇の複合エンドポイントとした。


患者背景は、平均年齢がエプレレノン群58.5±10.8歳、プラセボ群57.8±11.0歳、女性はエプレレノン群17.0%(86例)、プラセボ群 20.4%(103例)、心拍はエプレレノン群73±13bpm、プラセボ群74±13bpm、血圧値はエプレレノン群 126±19/76±13mmHg、プラセボ群127±17/77±12mmHg、eGFRはエプレレノン群86.5±28.2ml/min/1.73 ㎡、プラセボ群86.4±24.9ml/min/1.73㎡、前壁心筋梗塞はエプレレノン群35.6%(180例)、プラセボ群40.5%(205例)、 心筋梗塞の既往はエプレレノン群6.5%(33例)、プラセボ群4.5%(23例)だった。


主要評価項目の発生率は、エプレレノン群で18.4%(93例)で、プラセボ群の
29.6%(150例)に比べ、有意に抑制されていた(補正ハザード比(HR):0.57、95%CI:0.44-0.74、p<0.0001)。 イベントの大部分は1カ月後のBNPあるいはNT-proBNP上昇で、エプレレノン群16.0%(81例)、プラセボ群25.9%(131例)で、エプ レレノン群で有意に抑制されていた(p<0.0002)。そのほかの項目については、両群間に有意差はみられなかった。


全有害事象の発生率はエプレレノン群59.0%、プラセボ群で58.6%、投与中止の原因となる有害事象はエプレレノン群5.5%、プラセボ群4.8%、死亡はエプレレノン群0.6%、プラセボ群0.6%で、いずれも両群間に有意差はみられなかった。


1カ月後の血漿クレアチニン上昇(0.06±0.16対0.05±0.16mg/dL)、1週間後の血圧変動(-5.9±20.7対 -6.0±19.5mmHg)にも有意差はみられなかった。高カリウム血症(>5.5mmol/L)はエプレレノン群5.6%、プラセボ群3.2%で、エ プレレノン群に多い傾向がみられたが、有意差はみられなかった(p=0.09)。一方、低カリウム血症(<3.5mmol/L)はエプレレノン群 1.4%、プラセボ群5.6%で、有意にプラセボ群で多かった(p=0.0002)。


Montalescot氏は、「ST上昇型急性心筋梗塞患者に対し、エプレレノンの投与を早期から開始することで、良好な安全性プロフィールのもとに、臨 床ベネフィットが得られることを示した初めての大規模臨床試験」と試験の意義を強調。対象が低リスク患者であることにも触れ、現在同剤をめぐり高リスク患 者への有効性・安全性を検討するALBATROSS (Aldosterone Blockade Early After Acute Myocardial Infarction)試験が進行中であることも紹介。「今後、高リスク患者を対象とした、より長期の追跡を行うことで、この新たな治療戦略の重要性が検 証されるだろう」と述べた。

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