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Acute Cerebrovascular Syndrome(ACVS)TIAと急性脳疾患への新たな対応  (1/2)

公開日時 2012/08/03 05:00
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新たな概念“ACVS”浸透内山真一郎氏
TIAと虚血性脳卒中の早期診断、治療を

24時間365日対応可能な救急診療体制整備の必要性も

 

 

急性期の一過性脳虚血発作(TIA)と虚血性脳卒中を包括する新しい臨床概念として、注目を集める“急性脳血管症候群(acute cerebrovascular syndrome:ACVS)”。最近になって、TIA発症直後のリスクの高さも知られるようになり、医療体制の整備の重要性も指摘され始めた。4月26日に開かれたシンポジウム「Acute Cerebrovascular  Syndrome(ACVS)TIAと急性脳疾患への新たな対応」で、東京女子医科大学医学部神経内科学主任教授の内山真一郎氏が自身の考えを示した。

 

 

TIAの定義は2009年に新たに、「局所の脳、脊髄、網膜の虚血により生じる一過性神経学的機能障害で、脳梗塞を伴っていないもの」と提唱された。一方で、TIAの定義は、症状の持続時間が24時間、1時間と変更され、今回時間を区切らないという変遷をたどってきた。そのため、「画像診断ができるかどうかに依存してしまう」「定義が変わることで、これまでのデータとの互換性がなくなる」などの反対意見もあり、コンセンサスが得られていないのが現状だ。


内山氏はこれに対し、神経症状の持続時間と、MRIの拡散強調画像(DWI)の陽性率との関連性を検討したデータを提示。「一定のカットオフポイントがない」と指摘し、時間を区切った疾患概念の提唱自体に課題があるとの考えを示した。


また、TIAの発症直後のリスクの高さを説明。一方で、患者や患者家族だけでなく、「一般の医師に十分理解されていない」と指摘した。内山氏は、「TIAへの初期対応の遅れは患者の転機に致命的な影響を及ぼす危険性がある」と述べ、「TIAを生じたら、直ちに評価を行い、早急に治療を開始すべきである」と強調した。



ACSに相当する新たな概念

 

その上で、「救急疾患としてTIAと虚血性脳卒中は同一スペクトラム上にあり、両者を持続時間のみで区別するのは意味がない」との見解を表明。循環器領域で、不安定狭心症と急性心筋梗塞を区別せずに救急疾患として捉える、急性冠症候群(ACS)に相当する新たな概念としてACVSを提唱した。


内山氏は、ACVSがACSと同様に緊急性が高い病態であることを強調し、「発症直後のTIAは、急性虚血性脳卒中とともに、ACVSとしてTIAクリニックのような24時間、365日をカバーする救急診療体制の下で診療されるべき」との考えを示した。この救急診療体制の構築により、「脳卒中発症を水際で防止し、発症後の急性期・慢性期治療やリハビリテーションを含む膨大な医療費を節減できるため、大きな医療経済効果が期待できる」との見解を示した。

 



国際登録観察研究「TIA registry」日本でも順調に推移



発症後7日以内のTIAまたは軽症脳卒中の予後を追跡する、医師主導型の国際登録観察研究「TIA registry」が進行中であることも紹介。日本からは、東京女子医科大学、中村記念病院、秋田県立脳血管研究センター、国立循環器病研究センター、神戸市立医療センター、九州医療センターの6施設が参加し、345例が登録されているという(2012年3月31日現在)。脱落率は3カ月後で0.90%と低い値で順調に推移しているという。全世界では、5000例を目標症例数に、すでに9カ国4789例が登録されているという。
 

 

 

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