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日医・松本会長 26年度改定「医療機関の赤字改善と社会保険料引下げ圧力の 相反する命題に答える改定」

公開日時 2026/02/25 04:53
日本医師会の松本吉郎会長は本誌取材に応じ、「2026年度診療報酬改定は、医療機関の赤字を改善するために改定率も必要だが、社会保険料を引き上げることはできないという相反する命題に答えを出す必要があった」との認識を語った。26年度改定については2月13日に中医協答申がなされたが、個別改定項目では、急性期入院医療では、病院機能を評価する急性期病院A / B一般入院料が新設されたことも注目を集めている。地域医療構想で示される“急性期拠点病院”を先取りしたようにも映るなかで、「救急搬送が三次救急に集中してしまい、二次救急を支えてきた民間の中小病院に影響が出ることを懸念している」とも話した。(望月英梨)

日本医師会の松本吉郎会長に、26年度診療報酬改定に加え、給付と負担議論、かかりつけ医機能、医師偏在対策など、医療を取り巻く現状と今後の展望についてうかがったインタビューの一問一答は、Monthlyミクス3月号に掲載を予定しています。(インタビューは2月16日に実施しました)

◎26年度診療報酬改定はインフレ下での「道しるべ」 “真水”での対応が実現

賃金・物価対応が焦点となる中で、26年度診療報酬改定は本体プラス3.09%という30年ぶりとなる大幅なプラス改定が実現した。純粋に財源を上乗せする、いわゆる“真水”での対応となった。

松本会長は改めて、「インフレ下での“道しるべ”となる大変重要な改定となるものと考えている」と強調。「昨今の急激な物価高騰・人件費上昇がある中、診療報酬の改定がこれらの社会情勢に追いついていなかった」と振り返った。「医科・歯科医療機関及び薬局等は経営状況が著しくひっ迫し、閉院や倒産が過去最多のペースとなる異常事態が起きていた。医学の進歩・高度化に対応するための設備や医療機器への投資がなかなかできない状況だ。それに対応する手当てがなければ、患者ニーズの多様化に応えていけない」と指摘。「医療従事者の確保及び拡充に対応し、安心・安全な医療を実現し、地域の医療提供体制をこれ以上崩壊させないためにも、早急な健全化の実現が必要だった」と語った。

昨年11月には、国民医療を守るための総決起大会で決議をするなど、医療関係団体が一丸となった訴えが「高市総理大臣をはじめ、関係大臣のほか、多くの国会議員の先生方に届いた結果」との見方も表明。「医療機関が倒れてしまうと、国民の生命と健康を守ることができなくなり、最終的に地域経済そのものにも影響してくる。国会議員の先生方も地元を見て、そういう危機感を持たれたのではないか。そういう意味では、2年前の24年度診療報酬改定と雰囲気は違った。風が変わったと感じている」とも話した。

◎賃金・物価対応焦点 次回改定へ外来・在宅ベア評価料の算定呼びかけも

焦点となった賃上げについては、病院と診療所で対応が分かれる形となった。松本会長は、「病院における入院ベースアップ評価料の届出が約9割ということで、24・25年度分は入院料に溶け込ませ、26・27年度分の評価が新たに設定されることとなった。外来・在宅ベースアップ評価料については、医科診療所では約4割の届出にとどまっていることから、初診料・再診料へ溶け込ませることは叶わなかった」と説明した。

そのうえで、「賃上げとして評価されたものが、各医療機関等の従事者への賃上げにしっかりと反映され、人材流出に一定の歯止めがかかるよう、日本医師会としても、各医療機関への周知徹底、届出の呼び掛かけに努めてまいりたい」と表明。「その結果、次の改定においては、外来・在宅ベースアップ評価料も初・再診料に溶け込ませることができればと期待している」と話した。

ベースアップ評価料の対象となる職員が拡大された意義も強調。「医師事務作業補助者や看護補助者等も対象となったことは、人材確保の観点からも、病院と診療所の双方にとって恩恵があるのではないか」と見通した。

◎物価高騰対応「できるだけ公平に配分されるよう検討いただいた」

物価高騰への対応は、初・再診時等及び入院料等の算定時に算定できる、物価対応料が新設された。医療機能によって物件費率が異なることなどを踏まえ、施設類型に応じた点数配分となった。松本会長は、「物件費対応については、消費税の対応を参考に、各医療機関へできるだけ公平に配分されるよう検討いただいたものと理解している。26年度以降の物価上昇への対応に加え、24年度改定以降の経営環境の悪化を踏まえた緊急対応分も評価され、一定の評価になったのではないか」との認識を示した。

◎急性期病院A / B一般入院料新設 救急搬送件数要件で二次救急への影響を注視

病院機能を評価する急性期病院A /B一般入院料(Aは1930点、Bは1643点)の新設など、急性期に手厚い評価がなされたことも特徴となっている。松本会長は、「急性期に特化した改定になったことは間違いない」としたうえで、「急性期病院一般入院基本料の新設は、厚労省が検討を進める地域医療構想に若干先行した対応にも思える。日本医師会は、地域医療構想に寄り添う形での改定が望ましいとかねてより主張しており、今後の地域での動向は注視する必要があると考えている」と指摘。急性期病院A / B一般入院料では、救急搬送件数や全身麻酔手術件数に視点を置いた病院機能に着目した施設基準の設定がなされているが、「救急搬送が三次救急に集中してしまい、二次救急を支えてきた民間の中小病院に影響が出ることを懸念している。そうなると、地域の医療提供体制が大きく崩れてしまう。厚労省にはしっかりと検証していただき、場合によっては軌道修正を図る対応を求めることも考えていきたい」とクギを刺した。

◎看護・多職種協働加算新設は「大きな見直し」 大都市以外では看護師不足で病院停止も

これまで入院基本料は看護師配置による評価がなされてきたが、他の医療職種がそれぞれの専門性を発揮し、協働して病棟業務を行う体制を強化する「看護・多職種協働加算」が新設されたことにも言及。「地方では、大都市以外では看護師が不足するために医療が提供できなくなり、病院機能が停止してしまうことも切実な問題になるので、そういう観点からも、大きな見直しであると捉えている」との認識を示した。

◎逆紹介の流れを加速 地域でかかりつけ医機能を発揮

26年度診療報酬改定では、大病院の外来患者の逆紹介を推進するなど、地域の診療所等との連携も盛り込まれた。診療所又は許可病床数200床未満の病院が、特定機能病院などから紹介を受けて初診を行う場合の評価として、「特定機能病院等紹介患者受入加算(60点)」が新設。特定機能病院などの逆紹介割合の基準は20‰引き上げるとともに、直近1年以内に12回以上再診を行った患者を、新たに外来診療料の減算対象患者とすることも盛り込まれた。

松本会長は、「日本医師会としては逆紹介を進めるべきだとこれまでも主張してきた。特定機能病院などの大病院では、高い専門性が必要とされる疾患を有する患者さんを診察し、できる限り、地域に患者さんを帰すという逆紹介の流れは歓迎すべきことだと受け止めている」と話した。
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